応援するのは株価、それとも企業なのか?

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 この土曜日は福岡で東証のプラス YOU セミナーがあった。 予定の出席者170名は満席状態となった。 ただ、主催者の話では投資経験者が70%近くで、いつものセミナーとは逆とのこと。

 そこで、敢えて挑戦的な言葉でセミナーを始めてみた。 もちろん、ニコニコ顔で会場の皆さんに語りかけたから、険悪な雰囲気にはならず、むしろ納得感の高い問いかけとなった。

 なにを言ったかというと、皆さん投資の経験ありということですが、それほど大した経験ではないですよね。 その証拠に、今年に入ってからの株価調整局面でさっぱり買えないじゃないですか。 

 投資なんて安く買って高く売るだけのこと。 株価全般が売り込まれて安いいま、皆さんのほとんどが買うどころかむしろ売り逃げたいへっぴり腰となっている。 安い時に買えないなんて、投資家として大したことないですよね。 そう言ったら、みなさん確かにそうだと肯いてくれた。

 われわれは違う。 資金があればいくらでも買ってやるぞと、日本株が低迷気味の今は完全なる攻めモードにある。 この違いはどこから来ると思いますか?

 こんな感じでセミナーは始まった。 すると、出るは出るはで質問の山となった。 案の定、相場動向が気になって仕方がない極めて日本的な投資家まる出しの質問が相次いだ。

 その都度、われわれ長期投資家との違いをくっきりと浮かび上がらせることができる。 それらはいずれも投資経験ありの人たちはもちろんのこと、投資経験なしの方々にも聞いてもらいたいところである。

 長期投資家はいつでも、生活者からみて大事と思える企業を応援しようとする。 だから、株価が安い時ほど気合が入って、資金があればあるだけ買いたくなる。 一般的な投資家のように、株価が下がるとすぐ売りたくなるへなちょこ投資はしない。

 企業からすれば、そういった投資家というか株主が一番ありがたいはず。 ところが、個人のみならず機関投資家までもが企業を応援するという意識に欠けている。

 ほとんどの投資家は株価を応援するだけで、企業を応援する気など全く持ち合わせていない。 それが故に、株価が高い時はどんどん強気になって買い上がるし、株価が下がればすぐ売り逃げたくなる。

 そんな投資家は個人も機関投資家も、企業にとっては嬉しくもない存在といえよう。 ところが、現実はそういった投資家がほとんどである。

 さあ、皆さんどうしますか? 相も変わらず株価や相場を追いかけて高値を買ったり、安値を売りたたくのがいいのか。 それとも、企業を応援する投資をもっと真剣に考えるか。

 はっきりしているのは、企業なかりせば毎日の生活は成り立たない。 企業も生活者の消費あってこそ、経営が成り立つ。 切っても切れない関係にある両者の間に入るのが、長期投資である。 だから、われわれは骨太の投資で企業を応援しつつ、ゆったりと財産づくりを進めるのだ。