過熱感のない米国株の高値追い

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 米国株市場は今年に入って、もう数え切れないほどひんぱんに史上最高値を更新している。 それもジワリジワリ上がっていっては、ドスーンと売られる展開で徐々に徐々に下値を切り上げながら。

 こういった、なんだか知らないがしぶとく上値を追う上昇相場は、意外と大きなものになっていくのが過去の経験則である。 なにか大きな材料が出て株式市場が熱狂的な買いで沸騰するような時は、史上最高値更新といっても単発高で終わり、そこがピークといったるケースがほとんど。 

 現在進行形の米国株高だが、熱狂的な買いが入っているわけではない。 米国の景気が回復基調にあるといっても、まだまだ腰はふらつき気味である。 なにかにつけて弱い景気指標が発表されては株価を下押ししてくれる。

 それでもじりじりと上値を追っているわけで、上昇相場の腰は相当に強いと考えていいのだろう。 その背景としては、史上空前の金融緩和で市中にお金がジャブジャブにばら撒かれているのも大きい。

 それよりなによりも、やはり米国の経済活動が着実に上向いて事の証左だろう。 株価は代表的な景気の先行指標であるが、腰の強い株価上昇トレンドは先行きの景気回復を先取りしてのものと考えられる。

 もうひとつは、時折いわれるグレートローテーション、すなわち債券から株式への歴史的なシフトが始まりだしているのだろう。 およそ40年ぶりの株式シフトだから、始まりといっても誰もが無視するほど小さな兆候である。

 まだまだ債券神話が岩盤のようになっているところで、ちょっとばかしの株価上昇をしてグレートローテーションなど信じられるかといった捉えられ方が圧倒的に多いはず。

 新しい大きなトレンドの始まりはいつもこんなものである。 それでも、ここからの株式シフトは経済合理性からいっても、あって当たり前のものである。

 なにしろ、先進国中心に長期金利は歴史的な低水準にあって、債券つまり国債相場はもうこれ以上の上値追いは考えられない。 むしろ、どこかでの下落リスクは山ほど大きくなっている。 そう、債券から株式への資金シフトはどこかで雪崩を打って当たり前なのだ。

 まあ、そう遠くない先には兆候がもっとはっきりしてくるだろう。 その前に、株をたっぷり買っておこう。