10年ぐらいの間に起こりうること

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 長期の財産づくりで絶対に欠かせないのが、資産価値の保全をしつつも財産を増やしていく姿勢である。 やみくもに短期であるいは2年3年お金を殖やすだけなら、どんな投資でも構わない。 ひたすら儲ける努力をすればいいだけのこと。

 多くの投資家はこの積み重ねでもって、財産づくりができていくと考えているのではなかろうか。 だから、3年5年そして10年間の運用成績にやたらこだわるわけだ。

 そこで決定的に欠けているのが、資産の保全を講じながら財産づくりを進めていくという考え方。 資産の保全つまりどんな突発事故が降りかかってきても、財産の安全弁を確保しておくという配慮だ。

 わかりやすく言うと、生きている間に何が起こるか知れたものではない。 財産づくりにおいても、ここから10年ぐらいの間に起こりうるリスク要因を徹底的に排除して、その上で長期的にお金を増やす運用を積極的に進めていくことだ。

 たとえば、世界中とりわけ先進国中心に未曽有の金融緩和と市場空前といわれる資金供給を続けている。 そして国債発行残高は膨れに膨れ上がっている。 その結果、長期金利はかつてない低水準まで下がった状況下にある。

 目先あるいは2年3年ぐらいの投資感覚であれば、金融バブル崩壊の後始末も終わっていないので、最も安全資産といわれる国債に資金を置いておこうとしたくもなる。 しかし、資産の保全という観点からは、それは絶対に避けなければならない投資判断である。

 なにしろ世界中が景気の浮上と拡大を至上命題としており、先進国では2%とか3%のインフレ目標を大々的に掲げている。 この政策は本格的に景気が回復し、雇用も安定的に増える状況になるまでは続けられよう。

 となると、数年先か少なくとも10年もしないうちに先進国そして世界経済は、それぞれ3%あるいは5%ぐらいの成長軌道に乗っていくはず。 そうなると、長期金利が現在の低水準にとどまっているわけがない。

 長期金利が上昇するとなれば、国債の価格は下落するに決まっている。 これだけ大量に発行してきた国債だから、ひとたび価格が下落に転じるともう誰も止められない。 価格は大幅に下落するし、売るに売れない国債を大量に抱えて年金はじめ多くの投資家が大混乱に陥ることだろう。

 そんなリスクは今のうちから削ぎ落として、つまり長期金利の上昇を読み込んだうえで、長期投資を進めていくことが資産の保全につながる財産づくりということだ。

 10年ぐらいの間に起こりうる投資リスクはまだ他にある。 しかし長期金利の上昇が一番大きなものだから、先ずはその備えから始めよう。