昨夜は毎月第2と第4水曜日の夜8時からのインベスターズ TV の生放送に出演した。 これは、さわかみグループの一員であるソーシャルキャピタル・プロダクション(SCP)がやっているネットテレビのレギュラー番組のひとつで、自分のは月2回あって視聴者から質問をいただきながらそれに答えていく構成になっている。
5番目の質問が、なかなか面白かった。 澤上さんは長期投資長期投資といっているが、日本の投信業界の現状は毎月分配とかの販売優先に走っているではないか、それに対し投信業協会や証券業協会へ抜本的改革を促す働きをすべきだ。 そんな趣旨の質問というか叱咤激励をいただいた。
実のところ、今年の2月までは投信業協会の理事を務めていたので、とにかく販売ありきの投信ビジネスを変えることは相当に難しいものがあると断言できる。 その辺りは、議事録で自分の発言を読んでもらえばわかるが、自分なんかは理事会でいつも浮いていたといっていい。
なにが問題かというと、販売優先の手数料稼ぎビジネスが通用するから、彼らは現状のままでなんとも思わない。 商売という観点からいえば、彼らのゴテゴテなもうけ主義でも、 ちゃんとお客さんがついてくる。 だから、なにも文句はないだろうというところだ。
お客さんがついてきてくれるといっても、証券会社や銀行が相当に営業をかけている結果ではある。 それでも、商売が成り立っているということは、ひとつの現実である。 したがって、彼らに ”おかしいじゃないか、もっとまともな投信をやろうよ” と改革を訴えても、なかなか聞いてもらえない。
どうすれば、日本の投信ビジネスで悪しき慣行となっている販売優先の現状を変えることができるのか? 一刻も早く、さわかみファンドを筆頭に直販投信が大きくなることだ。
真に投資家顧客の財産づくりをお手伝いしようとしているのは誰か。 そこの認識が、世の中で広まってきはじめたら、現状は一気に打破できるだろう。
営業で投資家顧客を集めるのではなく、本格的な長期投資を世に訴えてじっくり投資家仲間を増やしていっている。 そして、その成果がはっきりと積み上がっている、ということが世に広く知られ始めたら早い。
後は投資家顧客がどう判断するかだけだ。 相も変わらず販売優先の投信商品を取っかえ引っかえで買わされるのか、自分の判断でまともな投信を選ぶのかは、それぞれの自由。 されど、なにが悲しくて手数料稼ぎの犠牲者とならなければならないのか、そういった判断も ”直販投信という、比べるものが大きくなってくる” ことで誰でもできるようになる。
そうなってくると、既存の投信は投資家顧客から捨てられる立場に追い込まれる。 これまでの商売のやり方が通用しないと分かってきて、初めて日本の投信業界も販売優先から真に顧客優先のビジネスへと舵を切ることになる。 それができないところは淘汰されるだけのこと。
まあ、見ててもらいたい。 さわかみファンドはじめ直販投信がこれからどんどん大きくなっていく。 その先では、既存の投信ビジネスの地盤沈下が始まり、どこかで一気に改革が進みだすはず。
明日から週末にかけて、九州は福岡、そして大阪、青森とセミナー出張が続くので、次回は来週月曜日となります。