われわれ長期投資家にとっても、日本株市場にとっても、そろそろ第2ラウンドに入っていくと想定したい。 先のことだから予測もつかない、それで一応は想定ということにしておくが、ここらあたりからすごい上昇が始まるぞというドタ感がする。
ドタ感はあくまでもドタ感だが、いくつか根拠もある。 まず、米国の景気が上向きだしているのが心強い。 なんといっても中国経済の3倍規模の巨大経済が回復トレンドを強めているのだ。 その波及効果は世界に及んでいく。
とりわけ日本経済にとってはデフレ脱却に最大の援軍となる。 米国経済の復調は自動車などの対米輸出が増加することで、ずいぶんと国内景気を明るくさせてくれる。 米国と日本を合わせると世界の GDP の30%を占めるわけで、両者が世界経済を牽引する強力な機関車となっていくことになる。
この図式は、6年ほど前からずっと言われてきたディカップリング論、つまり世界経済は新興国が引っ張っていく段階に入ったというのとは違う。 いわば一時代前のものといった感がある。 しかし、実際の経済力からみる限り、まだまだディカップリングにはほど遠いものがある。
早い話、中国をはじめどの新興国も先進国に頼る度合いは依然として大きい。 新興国が富を増殖していくには、製品の輸出先マーケットとしてだけではなく、先進国の資金が不可欠である。 現に、最近の新興国の成長スローダウンにも、先進国マネーの引き上げが大きく響いている。
もっと身近なところでは、1年前の反日暴動で中国政府がどのような関与をしたかは推測の域を脱しないが、日本からの資本進出が大幅に減ったダメージは無視できないものがある。 いくら中国経済が潜在的な力を誇っているとはいえ、まだまだ日本はじめ先進国の資本や技術に頼るところは大きい。 それが現実である。
次に、東京オリンピックの開催が決まったことで、ここから7年間は途切れることなく大きな資金が動く。 その資金は東京都や政府の予算投入だけではない。 オリンピックを機にビジネスを拡大しようという民間資金が動くのだ。 その効果は、通常の国の景気対策予算投入よりもずっと大きい。
国の予算投入は大きな資金が官の差配で動くだけである。 マスコミなどで大きく報道されるものの、ふたを開けてみればなんだったのというケースがほとんど。 好例が、東日本大震災の被災地復興予算だろう。 大きな予算が計上されたものの、まだ相当部分が着工にも至っていない。 もう、2年半も経ったといのにだ。
一方、民間の投資では企業間の競争が激しい故に、いつも時間との勝負である。 また、いろいろ新しい技術や工夫が盛り込まれる。 これらのどれもが、経済活動の活発化に直結する。 オリンピックが決まったことで、東京のみならず全国各地でその受入れ投資がはじまる。 面白いことになる。
まだ、いくつかあるが今日はここまで。 上の二つとも、個別企業を応援する長期投資家にとっては、すごい追い風である。