5%運動をやろうじゃないか

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 日銀速報によると、昨年9月末で個人金融資産は1509兆円となっている。 そのうち、52%にあたる785兆円が預貯金に眠っている。 眠っていると書いたが、まさに眠っているとしか言いようがない。

 いま預貯金に預けておいても、年0.02%前後の利子しかつかない。 金額にして1570億円だ。 源泉徴収後の1256億円の利子収入を全額消費にまわしたとしても、日本経済の成長に0.3%の貢献しかできない。

 通常の3%から4%の利子だと、20%の源泉税を引かれた後でも19兆円とか25兆円の利子収入が得られる。 その半分を消費にまわすだけでも、日本経済には2%から2.7%の成長要因となる。 えらい違いである。

 国が超低金利政策を採っているから仕方ない? 年0.02%の利子水準が現実で、3%とか4%はないものねだりに過ぎない? そういった理解のよさが問題なのだ。

 預貯金に眠らせているのは、われわれ一人ひとりの個人である。 超低金利だから仕方ないという前に、より有効なお金の置き場所を考えればいい。 預貯金に眠らせておくより有効なお金の置き場所を考えるとは、経済の現場にお金をまわしてやることでもある。

 たとえば、いま株式を買えば平均で2%近い配当利回りだから、預貯金の100倍である。 株を買った資金は売った人の手に移るだけだが、その分の売りは確実に吸収できる。 それだけ株価上昇を早めることになるし、企業に対する強力な応援メッセージとなる。 ボケーッと預貯金に預けておいて、やみくもな国債購入に回されるより、はるかに有効だろう。

 それでだ、みなで5%運動といったものをやってみようではないか。 一人ひとりが預貯金の5%を自分の意思で日本経済の現場にまわしてやるのだ。 さしあたっては、株を購入するだけでいい。 785兆円の預貯金の5%というと、39兆円である。 とんでもなく巨額な資金が株式市場に流入することになるから、株価上昇そして日本経済活性化が一気に見えてくる。

 高齢者はなかなか動かない? 構わない。 預貯金の60%ちょっとをもっている、60才以上の高齢者は老後計算などがあって、おいそれとは預貯金を投資にまわせそうにない。 静かにしていてあげよう。

 大事なのは現役層である。 給料やボーナスがなかなか増えないし、年金がどこまで当てになるのかといった不安も高まっている。 一番の問題は日本経済がジリ貧を辿っているからだ。 だったら、預貯金の5%を日本経済の活性化に向けてやって、なにも文句はなかろう。 それが生活防衛となるし、自分年金作りとなっていくのだから、いいこと尽くめではないか。

 現役層の預貯金314兆円の5%は、15兆円であり日本経済の3.3%にあたる資金である。 これだけの巨額資金が株式市場を通して日本経済の現場に流れていけば、どんなにすごいことか。 そう、われわれ現役層が力を合わせて、日本を元気にしてしまおうではないか。

 

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