日本株市場は快調に上昇を続けている。 この調子でどんどん上がっていってもらいたいものだ。 株価上昇は景気や企業収益向上の先行指標でもあるから、無条件で歓迎である。
この流れはまだまだ続くというか、これからますます本格化していくと思われる。 その一番の理由は、市場参加者がまだほんの一部の投資家でしかないということだ。
外国人投資家が日本株を積極的に買い越しているとはいうが、ヘッジファンドなどマーケットの値動きに密着している目先張りの投資家が瞬発力よく買ってきているのがほとんど。
海外の年金などは日本株投資にあたっての企業リサーチはじめ準備がまったく追い付いていない。 なにしろ、長いこと日本株が低迷したこともあって、グローバル運用の中で日本株の投資ポジションを大幅に引き下げてきた。 日本株の運用者を首にしてきたところも多い。 そんなところへ突然、日本の株価が上昇に転じたから大慌てもいいところである。
このまま日本株の上昇が続くなると、運用成績で大きく出遅れてしまう。 ともかく、いますぐにでも買える株から買っておこうとするものの、彼らが長年にわたって慣れ親しんできた家電などエレクトロニクス株は地盤沈下が著しい。 かといって、日本の新興企業など名前も知らない。 そんなわけで、彼らは大急ぎで日本株買いの準備に入っているところである。
一方、国内の機関投資家は大半が、それぞれの台所事情で日本株投資を縮小していく方向にある。 そんな中で、これからも日本株を買っていこうとしている一部の機関投資家は、いま頭を抱えている。 3月末本決算を目前に控えて、ここで急ぎ株買いにシフトしてよいものか、4月の新年度入りを待った方がいいのか、判断に迷って身動き取れない状態にある。
個人投資家もまだまだ本腰を入れては買っていない。 むしろ、昨年の11月半ばから30%ほど上昇した株価を見て、下がる前に売っておいた方が賢明と考える売りが後を絶たない。
とりわけ辛いのは、さわかみファンド仲間の皆さんからの売りが結構出ていることだ。 ここまで我慢してきたものの、なかなか成績が上がらないからと、しびれを切らした方々の売りが出ている。 いよいよ楽しみはここからというところなんだが、成績の約束はできないこともあって、ただ申し訳ない気持ちで見送りさせてもらうばかり。 これが一番つらい。
ともあれ、これらを勘案すると、日本株の上昇はまだまだ始まったばかりで、これからが本番と思われる。 もちろん、一直線の相場上昇なんてないから、大きく値幅調整したところでは、しっかりと買い増しをしておきたいものだ。
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