おいおい、金融よ

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 ロンドン発で米国などへも飛び火はじめた、ロンドン銀行間取引金利(LIBOR) の不正操作問題だが、イングランド銀行など中央銀行がどこまで関与していたのかとか波紋が広がっている。

 この30年間の世界的な金融ビジネスの大飛躍で、英国や米国は金融全般の自由競争を満喫してきた。 金融ビジネスが自国経済の20%以上を占めるほどに発展し、雇用も大幅に拡大した。 また、両国が先導して金融技術が驚くほどに高度化した。

 しかし、なんでもありの競争激化が金融バブルを引き起こしたのは記憶に新しい。 とりわけ金融マン達のモラル低下は目を覆いたくなるほどひどい。 そのひとつとして、表面化してきたのが今回の金利不正操作問題である。

 自行の利益、そして自分の給料やストックオプションにつながるなら、それこそ何でもやってしまう。 金融は経済の潤滑油であり血液でもある。 潤滑油や血液が本来の役割を大きく逸脱して、自己利益優先でモラルもくそもないといって暴れだしたら、それこそ経済は滅茶苦茶になってしまう。

 昨晩も、インベスターズTV で話したが、この30年で世界の銀行や投資銀行など金融ビジネスのサラリーマン化が一気に進んだ。 その結果、米国などの有名大学でMBA を取得したぐらいのサラリーマン経営者が、10億円とか100億円といった高額報酬をほしいままにする風潮が当たり前になってきた。 これは、どう見ても異常である。

 かつての個人銀行家やインベストメントバンカーであれば、私財を投入して産業発展や経済の拡大成長に大きく貢献した。 その見返りとして巨額の報酬を手にしたが、彼らは社会から大きな尊敬と賞賛を得る価値があった。 私財を投入するから、当然のことながら経験や自分のリスク判断を総動員して、自己規律と節度ある行動をするのが常であった。

 ところが、サラリーマン経営者達は預金で預かった資金や株主からの出資金、いってみれば他人の資金をバブル投機に投入していったのだ。 節度もなくやたら野放図に他人の資金でバブルを踊り狂った挙句に、単なる数字追いかけでしかない収益向上に貢献したといっては、巨額の報酬を得ていたわけだ。

 目先の収益それも数字上は向上したかもしれないが、後は野となれ山となれの経営で結果的には不良債権の山を築いてしまったし、世界経済にも大きなマイナスをもたらした。 彼らはその反省もないまま、既に手にした巨額報酬はしっかり確保したまま、さらなる自己利益追及に走っているのだ。

 そのひとつが、金融界は米国で最大最強のロビースト集団を擁して、自分達の利益拡大に向けて政治圧力をかけ続けているわけだ。 もういい加減にしてくれよだよね。

 

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