マネー化の盲点

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 金融バブルの後始末が遅々として進まない。 世界的な過剰流動性に年金など運用資金、そしてオプション取引やデリバティブ(金融派生商品)あるいは証券化商品といったバーチャルマネーが複雑高度に絡み合って築き上げたマネーの楼閣だ。 その楼閣にひびが入り、あちこちで崩れを見せているが、なんとか大事にならないよう時間をかけて自然の解体を待ちたい。 それで、モタモタしているわけだ。

 マネーの暴走がもたらした巨大な楼閣だ、大混乱を避けながら静かに崩していくには、おそらく相当に時間がかかる作業となるだろう。 ひとつ扱いを誤ると、先進国中心に銀行破たんやら信用不安を招きかねない。 その危惧が、世界の金融に濃い影を落としてくれている。 それが故に、マーケットには疑心暗鬼が覆いかぶさっている。

 そもそもおかしな話である。 金融は経済の血液であり潤滑油でもある。 その潤滑油があふれすぎて、経済全体をアップアップさせているのだ。 かといって、潤滑油の量を一気に減らすことができない。 あふれている潤滑油を強引に減らそうとすると、体内からも蒸発してしまい、経済はガタガタになる。

 どうすれば良いのか? 金融バブル崩壊の後始末は時間をかけてほぐしていくしかないだろうが、その横で実体経済の再構築を急がなければならない。 金融本来の役割である信用創造やヘッジ機能は存分に発揮させながらも、マネーマネーの暴走には歯止めを欠ける仕組みを導入する必要がある。

 最近は、なにが何でもマネー化しようとする風潮が高まってきたが、実体経済から大きく乖離したマネー化にはブレーキをかけなければならない。 そうしないと、将来どこかで金融バブルの再来を招くことになる。 なにしろ、マネー化は数字の付け替えだけだから、ちょっと気を許すと、すぐ暴走してしまう性格を持っているのだから。