イタリア国債の利回りが、10年債で7.4%にまで跳ね上がった。 前日の6%台後半からみると、すさまじいまでの金利急騰でユーロ圏全体で危機感が走っている。
金利上昇は各国政府の利払い費負担の増加を意味し、それが更なる財政赤字悪化につながるという悪循環のスパイラルが懸念される。 だから、ユーロが売られたり欧州経済の減速を嫌気しての株価急落となっているわけだ。
まあ、どうなることか今後の展開を見守るしかない。 三つだけは、はっきりしている。
ひとつは、昨日のイタリア国債の利回り急上昇は金融機関などからの売りが集中した結果だろうという推測は容易につく。 イタリア政府の財政健全化政策がどこまで進展するか、いまいち信頼が置けない。 下手すると、ずるずると問題が悪化し続けることにもなりかねない。 であれば、早めに保有しているイタリア国債を手放しておこうと考える金融機関が売りを出してきたということだ。
その結果の、市場金利の急上昇ということになる。 これは、イタリア国債保有者それぞれの判断次第であって、政府当局の意向などは無視である。 とにかく保有リスク回避の行動を優先しようとする投資家の行動は、債券価格の更なる下落と金利の急上昇をもたらすことにもなりかねない。
もうひとつは、イタリア国債保有者が慌てて売りに走らないですむよう、イタリア政府そしてユーロ首脳が万全の手を打ってくれると、金利上昇は収まる。 そういった金融不安回避の政策がどこまで効果を及ぼすかはしれないが、時間稼ぎにはなる。
最後に、これらの問題はユーロ圏拡大のユーフォリア(熱狂)と世界的な金融バブルの負の遺産である。 本来は、ユーフォリアやバブルに踊り狂った当事者達の自己責任で処理すべきものである。 しかし、問題があまりにも大きいということで、各国政府や中央銀行が深く関与せざるを得ない状況に追い込まれてしまった。 この図式は不良化した債権の処理が終わるまで続くことになる。
そうはいっても、われわれ長期投資家は慌てない。 地球上70億人の毎日の生活は何も変わらないし、それを支える企業活動もずっと続く。 金融不安を嫌気して株価が売られれば、どんどん買い増しするだけのこと。
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