NY市場も東京株式市場も、ここへきて急落を繰り返すようになってきた。
ずっと書いてきたように、買って買いまくってきた人気株だ、売りの局面に転じると値の崩れも極端になる。
そして、下げれば下げるほど、溜まりに溜まってきた買い残高が重しとなってくる。
これは、バブル相場が弾けだすと常にみられる、「大きく下げては、さらにまた下げる」パターンである。
これで、カネ余りバブル高は大崩れに入るのか? そう思いたいが、まだ世界の投資家たちはそう慌てていない。
現に、株式市場は売りが増えているが、リスク回避といって債券市場にマネーが流れ込んでいる。
9月には米FRBが利下げに踏み切ると読んで、それを先取りしようと債券を買っているわけだ。
世界の機関投資家も、まだ全般的には楽観的な投資スタンスを維持しているようだ。
さあ、この先どんな展開となっていくのだろう。 それは、神のみぞ知るところである。
ともあれ、本格的な下げに入ると、株式のみならず金融マーケット全般に売りが広がるもの。
ちょうど、リーマンショック時に、分散投資とやらがまったく機能しない全面下げとなったように。
その観点からは、この株価急落は金融緩和バブルの終わりの始まりといったところだろう。
終りの徴候は、あちこちで散見されるようになってきた。 主要企業の業績動向が急減速しだしている。
また、米国では失業率が高まる傾向で、景気減速を裏付けしている。
金融マーケットでは、9月の利下げで事態は好転すると期待しているかもしれないが、ちょっと甘い。
世界的なインフレ圧力の根は深く、投資家が期待するほど大きな利下げは無理だろう。
もちろん、景気が相当に落ち込んでくれば、インフレも収まってくるが、企業業績も悪化する。
そう、いろんな意味で金融緩和バブルにブレーキがかかってきた、それは間違いない。
となると、異常なまでの熱気で買い上げられてきた人気株には、その反動売りの圧力がどんどん重くなってくる。
人気化してきた株式の大きな値下がりは、投資家に巨額の損失計上や評価損の山を築かせる。
それは、バランスシート・デフレ、つまり資産デフレに直結し、世間のカネ余りがカネ不足に一転する。
となると、景気が後退に向かおうと金利は上昇するし、債券投資家にも大きな損失をもたらす。
このあたり、われわれ本格派の長期投資家がずっと前から読み込んでいた展開である。
どれもこれも、金バラマキ経済から健全な経済へ戻っていくための、避けて通れない道である。