明日からパリへ

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 フランスはパリにあるコムジェスト社の設立30周年記念でもあり、2年の一度のアナリストミーティングに出席のため、明日から2泊4日でパリ出張します。

 コムジェスト社は世界でもいまや絶滅危惧種的な存在となってきている長期運用ブティックの一つである。 長期運用ブティックと書いたが、規模を追い求めず運用成績でもって勝負していく、伝統的な運用ハウスをいう。

 1970年代までは、世界で運用ビジネスといえばブティック的な職人芸の世界を指した。 どこも運用成績でもって顧客資産を拡大させていく方針に揺るぎがなかった。

 というか、運用の世界では将来の成績など当てにできない。 あるのは、その運用会社が現時点までどれだけの運用ノウハウや実績を積み上げてきたかだけである。

 運用を委託する顧客サイドは、個々の運用会社の哲学や理念そして運用体制をみて将来を託すことになる。 どうしても、ある程度以上の期間でもって、その運用会社の実力を判断することになる。

 裏を返すと、運用会社がチャラチャラと顧客獲得の営業をかけたところで、そんな営業トークなど誰も信じない。 それよりも、どれだけ長い間しっかりと運用成績を積み上げてきたかの実績をチェックする。

 だから、運用ビジネスは運用成績でもって大きくなる、決して運用資産集めに時間とエネルギーを費やすべきではないというの常識であった。 顧客資産獲得の営業などに力を入れるのは、三流の運用会社とみなされていた。

 ところが、80年代に入って年金資産の急激な積み上がりに対し、年金資産の運用に預かろうとするマーケティング競争が一気に噴き上がった。 

 年金という新規の巨大資産を獲得しようとするマーケティング競争ともなると、保険会社など巨大な金融機関ががぜん有利となる。 資金力や組織力を総動員して、とにもかくにもより多くの年金資産を獲得した方が勝ちである。

 洪水のような凄まじいマーケティング競争の流れに押し流されて、英国やスコットランドの伝統的な運用ブティックは消えていった。 あるいは、巨大な金融機関の傘下に収められて、由緒あるブティック名を営業支援につかわれることになっていった。

 80年代半ば以降は、世界の運用ビジネスがマーケティングのビジネスに変身して今日に至っている。 それも、年金が求める毎年の成績を追いかける資金運用に堕して、長期運用が絶滅危惧種的なものになってしまった。

 そんな運用業界の潮流に棹を指すかのごとく、パリにコムジェスト社が生まれたのが30年前。 世界中から長期投資を良しとする資金を集めて、エマージングマーケットやヨーロッパ株中心の運用で立派な成績を残している。

 同じ長期投資野郎として、コムジェスト社を創設したフランソワ・カントン氏とは親しくしており、日本コムジェスト社の設立も応援した。 その流れで、4年ぶりのパリ訪問となったわけだ。

 コムジェスト社のアナリストミーティングは、長期投資を主体としたものになるから、いろいろ面白い話し合いができる。 明日からが楽しみである。

 次回の長期投資家日記は、来週の月曜日になります。

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