日経平均株価が18年ぶりの高値とか。 2年半にわたる日本株市場の上昇トレンドに、乗り遅れてはならじと大慌ての海外投資家の参入が相次いでいると、マスコミ報道にも熱がこもってきた。
海外からのみならず、日本の機関投資家の買いピッチも上がっている。 公的年金などが日本株投資比率を上げたこともあって、その資産を受託管理する信託銀行も名義上だが大幅な買い越しとなっている。
そんな中、個人投資家の株式売買を見るに、ずっと売り越し基調を続けている。 海外勢や機関投資家が日本株投資の比率を上げようと積極的に買っている横で、ひとり個人投資家は日本株を売っているのだ。
おかしいと思わない? 個人の株式投資熱もかなり高まってきているのに、統計をみると全体では個人は売り越しとなっているのだ。 買っているのか、売っているのか、本当はどっちなんだろう?
そのカラクリは意外と単純である。 個人投資家の多くは株価が大きく値上がりしてくると、早々と利益確定の売りを出してくる傾向が強い。 その代わり、大きく下げるとしっかり買いを入れてくる。 そういった百戦錬磨の個人投資家が結構あちこちにいるのだ。
彼らは長い経験からも、株価が安い間に買い仕込んだ株を上昇相場を待って売る投資パターンを崩さない。 実にマイペースの株式投資をずっと続けている。
その証拠に、株価全般が大きく下げた月の翌月はじめに投資家主体別の売買統計をみると、個人部門はしっかり買い越しとなっている。 新聞報道にもあるじゃない、個人投資家は株価暴落を横目に安値を拾っていると。
そういった百戦錬磨の個人は全国各地にいるが、どんどん増えているわけではない。 だから、30年40年の長い統計でみると、日本株市場における個人の持ち株比率は趨勢的に落ちてきているわけだ。
そこで、われわれ長期投資家の出番となる。 安く買って高く売るを繰り返して小遣い稼ぎをする個人の株式プロの横で、企業を応援しようとする生活者株主がどんどん出てきていい。
株式市場への参加では、どちらも一緒。 暴落相場時や長期低迷相場では、これはと思う企業の株をどんどん買い仕込む。 景気や投資環境が改善してきて、株式市場で買いの熱気が強まるにつれて、ゆっくりと利益確定の売りを出していく。 その繰り返しを単純に続けることで、手持ちの資産はどんどん増えていくことになる。
ひとつだけ違うのは、長期投資家には企業を応援して一緒により良い社会をつくっていこうとする、強い意思と意欲に満ち満ちていることだ。
財産づくりをしながら、より明るい社会を築いていけるのなら、広い裾野の個人が長期投資に続々と参加してこれるはず。