さわかみファンドが設定されて14年と9カ月になるが、その間に平均株価との開きが97%近くまで行って、いまは93.7%である。 なんのことかというと、さわかみファンドの基準価額と日経平均株価や東証株価指数との成績差のこと。
もちろん、さわかみファンドの方が平均株価の上を行っている。 とはいえ、設定来の成績を年率の数字にすると、3.7%ちょっとで大したことない。 預貯金の年0.02%や10年物国債の年0.5%台よりはずっと上だが、全然もの足りない。
面白くなるのは、ここからだろう。 さわかみファンドは本格的な長期投資の運用をどっしりと進めており、不況時や株価低迷時は資金のありったけを投入して、応援したい企業の株を買っていく。
ずっと買い仕込んでいる間は、成績のことは後の楽しみにしてくださいといった基準価額の推移となる。 その段階であまりに成績を意識すると、せっかくの安値買いチャンスで指をくわえることになる。 それではファンド仲間の皆さんの財産づくりが進まない。 やはり、買う時にはしっかり買っておかないとは将来の成績はない。
不況時や株価低迷時に成績は横へ置いてでも買いを優先するのは、もう長期投資家の基本体質みたいなものである。 それをやらなかったら、その辺りの株価追いかけ型の短期投資家と変わらなくなってしまう。
そうはいうものの、長期の株価低迷に付き合って基準価額も低空飛行を長く続けると、ファンドをお持ちのお客様の一部で不安感が高まる。 ここをじっと我慢というかどっしりと構えてもらえると、さわかみファンドの長期運用と呼吸がぴったり合ってくる。
パッと明るくなってくるのは、景気回復や投資環境の好転を株価全般が先取りし始めたころからだ。 そこから先の基準価額の急上昇ぶりは、本格的な長期投資ならではのすさまじいものとなる。 なにしろ、安値をたっぷり買い仕込んできたのだから、それらが一挙に花開いて当然であろう。
そうなってくると、ファンド仲間の皆さんの間でもほっとした気持ちが高まり、さわかみファンドを持っていて良かっとなる。 まさに、投資のリターンは後からついてくるである。
日本株の動向をみていると、そろそろこれまでの買い仕込みがグーンと実ってくる段階に入っていくと思われる。 なによりも心強いのが、企業の業績向上スピードが上がっていることだ。 米国株市場が史上最高値を更新してはさらに高値を目指しているのを見るに、日本株もどこかで吹っ切れた値動きとなっていくのだろう。
ちょっぴり残念なことは、昨年からファンドの解約売りが続いていることだ。 たっぷり買い仕込んでおきたいタイミングで、解約に対応する持ち株の売却はなんとも辛い。
その分だけ将来の成績を削いでしまうことになる。 さわかみファンドの運用にとってもだが、お客様にとっても超がつくほどもったいない話である。
長く長期投資の運用に携わってきて、つくづく思う。 将来価値の高まりを読み込んで、どこまでしっかり買っておくかが投資の基本であり、肝でもある。 後になって、信じられないほどの成績差になってしまう。