小規模投資非課税口座 (NISA) がスタートして、そろそろ半年になる。 証券会社や銀行が口座獲得を競ったこともあって、すでに600万を超す口座が開設された。 順調といえばいえるかもしれないが、いろいろ問題が露呈してきた。
その筆頭が、 NISA 口座を開設した人々の中で投資未経験者は10%ちょっとに留まっているという事実。 逆に、大半が株式投資に手慣れた中高年層で、せっかくの制度だから利用してやれというところだろう。
なにしろ、年間100万円までの投資に限定されてはいるが、その分のキャピタルゲインつまり投資収益は無税となる。 せっかくの無税制度だから利用しない手はないと、投資経験者の間では好評である。
しかし、それでは NISA 口座の本来の目的からは大きく逸脱してしまっている。 そもそもが、これまで投資などしたことのない人々、とりわけ若い世代が少しずつ長期投資による財産づくりを進めていってもらいたいというもの。
ふたを開けてみれば、投資初心者の利用は10%ちょっとでしかない。 まだ NISA の良さが十分に浸透していないという面もあろう。 しかし、それ以上に決定的なネックとなっているのは、5年間の措置というなんとも中途半端な制度設計である。
個人生活者とりわけ若い世代に長期投資による財産づくりを進めてもらいたいのなら、5年とかに限るのではなく恒久措置にすべきである。 その代わり、以前このブログで書いた長期投資減税案が主張するように、7年以上保有した投資分はすべて無税にするのだ。
そうしてやれば、投資はじめての人たちもじっくりと長期投資に取り組める。 これから10年20年と長期にわたって、少しずつでも株式や株式投信を買い貯めていこうとなる。
7年以上の保有とすれば、株式投資に手慣れた連中の短期売買がブロックできるので、投資初心者の間で安心して株や投信を買ってみようという気持ちが高まる。
その流れが当初は小さなせせらぎであっても、7年の間には奔流のように大きくなっていく可能性は非常に高い。 なにしろ、若い人達の間では年金の将来に不安が高まっており、何か手を売っておかなければいけないと真剣に考えている。
そういった潜在需要が NISA 口座活用に向かい出したら、これはとんでもない流れとなる。 長期投資文化も一気に広がりを見せ始めよう。
税当局にとっても悪い話ではない。 7年以内の短期売買には通常の20%課税を課せられるから、多くの投資家は7年以上の長期保有に向かう。 816兆円の預貯金マネーの2%が動いただけでも、昨年の外国人投資家の日本株買いを上回りすごいことになる。
7年以上も株式や株式投信を買い一方となれば、日本株市場は相当に大きな上昇相場となっていく。 そうなると、株価上昇による資産効果で消費や企業の投資が高まり、日本経済の活性化は目に見えている。 当然、税収入は大幅に増加する。
これは、前に長期投資減税案で主張したことと同じだが、要は如何にして個人の預貯金マネーを動かすかだ。