逆張り投資

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 投資には順張り投資と逆張り投資とがある。 順張り投資は上昇相場をとらえて、どんどん買い乗せしていく投資手法で、日本の投資家が好む投資のスタイルである。

 それというのも、日本株市場は1952年から1989年末までの37年間で年率20.2%のとんでもない上昇相場を続けたからだ。 年平均20%の上昇があるのなら、そういった上昇トレンドに乗らない手はない。 だから、上値をドンドン買い乗せしていくのが日本における株式投資の王道とみなされたわけだ。

 一方、逆張り投資はいま投資家人気から見放されている銘柄を、ていねいに拾っていく手法である。 相場格言にある、人の行く裏に花あり宝の山を、文字通り実践していくのだ。 37年間も続いた日本株の強烈な上昇相場においても、逆張り投資は幾度となく大成果を収めている。

 順張り逆張り、どちらも張る、すなわち相場あっての株式投資である。 結局のところ、相場追いかけ型の投資から一歩も出ない。 相場動向を注視しながら買い乗せするか、裏を買っていくかの違いしかない。

 相場追いかけ型投資の弱いところは、相場が長期にわたって下げ歩調を続けたり、低位でこう着状態に陥ってしまうと、もう身動きが取れなくなってしまう。 バブル崩壊後24年間続いた日本株市場のだらだら下げ相場で、日本の投資家はなす術なくうろたえるばかりだった、まさにあれだ。

 長期投資家はまったく違う。 相場など買う人が多くなれば上がるし、売りが集中すれば暴落するわけで、その時その時の投資家人気で上にも下にも行く。 そんなもの関係なしで企業のビジネス活動は、一日24時間365日ずっと続けられている。

 そういった企業の中で、将来にわたって一緒に経済を拡大発展させ良い社会をつくっていけるであろう企業を厳選して、とことん応援していく。 それが長期投資である。

 応援するというのは、日々の生活消費でその企業の売り上げに貢献できる。 もうひとつは、その企業の株価がヤタラ滅茶に売られている時は、放っておけないと応援の買いを入れる。

 いってみれば、生活者投資家として企業の応援株主になっていくわけだ。 そういった長期投資家にあるのは、応援すべき企業をしっかりと見定めること、そして株価が大きく下がったところは断固たる応援の買いを入れるという行動パターンだけである。

 そこで大事になってくるのが、リズムである。 大きく売られたら応援の買いを入れる、投資環境が良くなってくるにつれガンガンの強気となる投資家、つまりにわか応援団が増えてくるにつれて薄く薄く売り上がっていく。

 相場にとらわれることなく、されど相場に対し自分のリズムを崩すことなく、マイペースで企業の応援投資を進めていくのだ。 こういった長期投資に慣れると、ずぶんと楽にしかし骨太の財産づくりができていくよ。