そう遠くない将来に、日本の金利は急上昇局面を迎えるだろう。 その時は、金融マーケットや経済の現場で想像もつかない混乱に陥る覚悟はしておこう。
その引き金の第一は、黒田日銀総裁のなにがなんでも2%の物価上昇を実現させるというインフレ目標政策だ。 おそらく今年か遅くとも来年には、2%目標は達成されよう。
その時点で、長期金利たとえば10年物国債の利回りが現在の0.5%台に留まっているはずがない。 ずっと前倒しで、長期金利は2%を超え3%から4%近くまで上昇してしまっているのが経済というもの。
なぜかって? 年0.5%台の利回りしか期待できない国債の保有者はもちろんのこと、期待利回りが0.7%や1.3%の利回りの国債も全部ひっくるめて、物価上昇の2%には追い付かなくなる。 つまり、逆ザヤの運用をしていることになる。
それはまずいということで、より利回りの高いものに乗り換えようという判断が必ず表面化してくる。 それは、現在保有している国債を売って年2%以上に回る国債を買うことである。 皆が同じ行動に走れば、長期債の利回りはあっという間に2%台に跳ね上がってしまう。
本当ならば、その現象はもう出始めていていいのだが、日本は1992年の9月から低金利そして超低金利政策を続けている。 もう22年にもわたって超低金利が当たり前の経済となっているから、ちょっとやそっとでは金利上昇のイメージができなくなっているのだ。
その証拠に、機関投資家や金融機関はどこも ”いずれ2%のインフレ目標は達成されようが、長期金利はまだ当分上がる状況にない” といった奇妙な安心感で安穏としているではないか。 そんなユデガエル状態は、およそ経済人であれば絶対に避けなければならないことなのだが。
逆いうと、だからこそ金利の上昇つまり国債売りがひとたび表面化してくるや、どの機関投資家や金融機関も大慌てで保有国債を売りに殺到する。 いつもの横並びパニック現象だ。
もうそうなると、国債を買おうとする人はいない。 日銀がどれだけ頑張って買い支えたところで、買えば買うほど日銀券の大量発行で、円価値の下落つまり物価上昇を煽ることになる。
その頃には、預貯金の価値は下落するは銀行などが保有国債の評価損で苦しむはで、多くの人々が右往左往の大混乱に陥っていよう。 なにしろ、これまで財産の置き場所として信じて疑わなかった預貯金だが、その安全性も確かさも一気に崩れ去っている渦中にいるのだから。
その点、われわれ長期投資家は落ち着いたもの。 生活者として無くなっては困る企業の応援株主になるということで、財産の置き場所を実体経済の中へ移してしまっている。 これが一番安全な財産の保全であり、利殖の方法である。
なにしろ、インフレになろうが国債が暴落しようが、なにが起ころうと人々の生活は消えてなくならない。 それを支える企業のビジネス活動も一時としてストップすることはない。 だから、そういった企業の株を買っておくことが一番確かなのだ。
これらのこと、おそらく誰もが理解できる展開だろう。 だったら、一刻も早く行動に移ろう。 どんな時でも、合理的な経済行動をしておくことが肝要。 必ず報われる。