ミニ・ヴィレッジ(前篇)

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 経済のおもしろいというか不思議なところは、お金をつかえばつかうほどに経済活動が拡大し、皆が豊かになる。 その結果として、お金は殖えて戻ってくることだ。

 よく考えてみれば、それは当たり前のこと。 こちらがお金をつかえば、それは誰かの収入になり利益ともなる。 その誰かが手にしたお金をつかえば、別の誰かの収入と利益になっていく。 この繰り返しをぐるぐる続けていけば、経済活動は拡大するし、皆も豊かになる。 そして、まわり回って自分の収入と利益にもなっていく。

 長期投資はこの考え方をさらに積極化させ、お金をつかう目線を将来に向ける。 こんな世の中を築いていこう、こんな社会を子供たちに残してやろうといった願いをかなえていくべく、同じ方向で頑張っている企業を応援する。

 応援の方法は、毎日の生活消費でその企業の売り上げに貢献する。 そして、何かの加減でその企業の株が大きく売られたら、断固たる応援買いを入れて株主になる。 このどちらも、企業にとってはありがたい応援で、ますます頑張ろうとなっていく。

 熱い応援を受けた企業が張り切ってビジネスを拡大していくことで、われわれの願う世の中の実現に一歩一歩と進んでいく。 また、企業の利益成長とともに株価は上昇し、われわれの投資リターンともなっていく。 投下した資金が殖えて戻ってくるわけだ。

 さて、殖えて戻ってきた資金だが、そこで喜んでいるようでは筋金入りの長期投資家ではない。 お金を抱え込むことなく、どんどん再投資にまわしていくのだ。

 再投資の先は、こんな社会を築いていきたいと願う方向で頑張っている企業を応援することから、少しずつ広げていってもいい。 こんな生活もあっていいよなと思える方向で、殖えたお金の一部をどんどん使っていくのだ。 それだって、経済の拡大と皆の幸せにつながっていくのだから、十分に意味のあることである。

 どうせ生きていくなら、こんな生き方もいいよなと思える方向でお金をつかうとなると、戻ってくるのは金銭的なリターンではない。 質の高い生活への満足感や人生の潤いといったものが、じわっと押し寄せてくる。 そんなリターンだ。

 この先は、明日のお楽しみに。