材料で投資、それとも読み?

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 アベノミクス第3弾の成長戦略が具体性に欠けるということで、株式市場では失望売りに傾いている。 この3週間の株価調整局面を打破するにも、パンチの利いた政策を期待していた投資家や市場関係者が多かった。 それが肩透かしを食らったわけだ。

 ヘッジファンドやディーラなど短期志向の投資家は、買いでも売りでもその時々の材料に反応する。 その材料でマーケットは上あるいは下どちらに傾くかを、瞬時に判断して買いなり売りを仕掛けることで投資リターンを確保しようとする。

 また、日本の多くの投資家は機関投資家を含め、相場追いかけ型がほとんど。 だから、相場を方向付けるであろう材料にはいつも神経を尖らせている。

 買い材料が出れば、飛びつき買いに走る。 売りとなれば、一刻も早く逃げなければならない。 とにかく相場次第で、どちらにでも機敏に対応するをもって、株式投資としているわけだ。

 そういった短期志向の投資家や、まずは相場ありきの投資家が多数を占める日本株市場では、どうしても株価形成が薄っぺらで過激になりがちである。 世界でも指折りの巨大株式市場ではあるが、こと株価形成に関しては弱小新興国のような粗さをさらけ出している。

 これでは、残念ながら預貯金に眠る個人マネーも恐れをなして、なかなか株式市場に入ってこれない。 ゆっくりじっくりと株式投資したいと思っても、株価形成が荒っぽ過ぎるのはかなわんとなって当たり前だろう。

 一方、われわれ長期投資家は将来価値の高まりを読み込んで、相場つまり市場評価が低いところでしっかり買い仕込んでおこうとする。 したがって、今のような荒れ模様の相場展開にうろたえることもない。 むしろ、絶好の買い場とご機嫌で買いに行く。

 なんとか、われわれのような長期投資家がもっともっと増えてくれて、日本株市場の株価形成に厚みと落ち着きをもたらしたいものだ。 預貯金に眠る膨大な個人マネーの5%でも10%でも、どっしりゆったりと株式市場に流れ込んでくれれば、日本経済の活性化にどれほど大きな貢献ができることか。