さわかみファンドは設定来13年9か月となるが、 TOPIX (東証1部株価指数)との成績差が87.65%にまで開いてきた。 もうすぐ90%台に乗っていこうとしている。
1999年8月24日を起点として、さわかみファンドと日本の平均株価、たとえば TOPIX と比べると、われわれは87%以上も上を行っているわけだ。
その推移をたどると、結構おもしろい。 設定当初は IT バブル華やかりし頃で、ネットや通信関連株がこの世を謳歌していた。 そんなバブル相場に飛び乗って、目先の成績を追いかけるのが長期投資ではない。
それよりも、軽薄短小が勝ち組企業の合言葉になっている横で、重厚長大型の古い企業群はもう時代遅れとみなされ、株式市場からはまったくの人気圏外となっていた。 いわゆる、鉄鋼や造船そして化学あるいは建設機械といった装置産業は、成長見通しも冴えないし利益率も低い。
たしかに今は利益率も低いかもしれないが、どれも人々の生活に欠かせない産業である。 皆が見捨てているのなら、そこを応援するのが長期投資である。 そう判断して、さわかみファンドでは重厚長大型の企業を集中して買い進んだ。 うまい具合に株価はボロボロの安値に放置されていた。
しかし、マーケットの流れは IT 関連と通信株のオンパレード。 それで、さわかみファンドの成績は設定から半年というもの、平均株価を下回って推移した。 重厚長大企業に特化していたさわかみファンドの運用は古臭いといわれたものだ。
2000年の3月になると、さしもの IT バブルも弾け、関連銘柄の株価は大幅下げとなった。 代わって、景気関連株が出遅れ感で買われだした。 そのあたりから、さわかみファンドの成績の伸びは平均株価を追い抜き、それ以降は差が開く一途となっている。
たとえば、2007年の7月に基準価額は20,000円を超えたが、設定来の TOPIX との成績差は84%強にまで広がった。 圧倒的な開きである。
その後、リーマンショックで日本の株価は1982年の水準まで叩き落された。 こういうときほど企業の応援買いを進めるのが長期投資の真骨頂とばかり、さわかみファンドは安値を断固として買った。 ひどく売られている株を応援買いするためにはと、あまり株価が下がっていない企業の株を ”ごめんなさい売り” させてもらって、現金をつくっては買いまくった。
その結果、平均株価との成績差はみるみる縮まって、39%台にまで下がってしまった。 ポートフォリオの評価損は700億円にも拡大した。 暴落相場を逃げず、これはと思う企業の株は資金の限りを投入して応援買いしてやるぞ。 いまは成績の落ち込みを見るのはつらいが、ここが長期投資家の正念場だ、成績は後で積み上がってくる、といった運用方針を貫いた。
5年半に及んだ断固たる応援買いは、ようやく昨年末から実りの段階に入ってきた。 戻りに入った早いぞと社内で言ってきたが、ここへきての成績差の開き具合はすさまじいの一言。 もうすぐ90%台に乗せ、そう遠くない先に100%を超えていくのではと楽しみにしている。
平均株価の伸びに2倍近い差をつけている、悪くはないよね。 いずれは、3倍4倍にしてやりたいものだ。
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