運用の違い、ここから出てくる

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 半年前までの重苦しさは、一体どこへ行ってしまったのだろう? そんなことどうでもいいから、この相場に乗り遅れないことだと、怒鳴られそうな株式市場の賑わいぶりである。

 まあ、投資家心理がそれだけ前向きになってきていることには、諸手を挙げて歓迎する。 株価が上昇し経済全般に明るさが出てきて、悪いことは何もないのだから。 もちろん、ずっと前から安値の買い仕込みを徹底してきた長期投資家にとっても、含み益がどんどん脹れあがてくれるから文句なしの展開である。

 急ピッチの株価上昇だが、まだ熱狂というまでは至っていない。 なぜなら、ここまでの上昇に出遅れている投資家が万といるからだ。 その中には、これまで日本株の投資ポジションを引き下げることしか念頭になかった機関投資家もいる。 彼らは、いま日本株を持っていないリスクに兢々としている。

 一方、新聞報道にもちらちらと相場上昇のスピード調整を云々する記事が出始めている。 なかには、買い遅れている人たちがしばしば語る ”買いたい弱気” もある。 かりに、米国市場あたりがちょっともたついたら、日本株市場も連れ安することは大いにありうる。

 どういった展開になろうと、長期投資家は常に冷静な状況観察と、早め早めの判断は欠かせない。 ここまでの株価の戻り相場に乗って成績を上げているだけのところと、本格的な長期運用との違いが、ここから表面化してこよう。 

 大きな流れは2日前に書いた通り。 世界中の人々の成長意欲は抑えようがなく、それを下支えしていく企業の株価は上昇の一途。 また、世界的な需要の爆発がもたらす構造的なインフレ傾向にも、長期の株式投資は自動的に乗れてしまう。 債券から株式への資金シフトも追い風となる。

 そうはいうものの、株価が一本調子で上昇を続けることはない。 いろいろな波乱要因を乗り越えていくことになる。 その都度、多くの投資家が振るい落としにかかるかけられることになる。

 身近なところで言えば、国債相場がちょっと揺れはじめている。 日銀による大量の国債買取で長期金利は低位で安定するとした期待に反し、金利は上へぴくぴくしてきている。

 われわれ長期投資家からみれば、政府日銀が景気回復を目指せば長期金利は上昇傾向に入って当たり前である。 ところが、デフレ脱却と景気回復は望むが、長期金利の上昇は困るという企業や金融機関にとっては、やっかいな展開となる。 そのあたりが、そろそろ株価にも表れてくるだろう。

 長期で応援していく企業への投資は、長期金利の上昇など気にすることはない。 大体からして、現在の金利水準が異常に低いのだから。