長期投資の啓蒙と実践

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 ずっと本格的な長期投資というものを語ってきた。 その良さ、とりわけ成熟社会においての必要性は、できるだけ多くの人々に知ってもらいたい。

 たとえば、日本には個人の預貯金が国内総生産 (GDP) の1.7倍にまで積み上がるなど、企業も含め民間に資本の蓄積が進んでいる。 それらの資本を、一般生活者や企業が主体となって自発的に社会や経済の現場に投入していくことで、いくらでも良い世の中を築いていける。

 それが長期投資である。 すでに多くの企業は自助自立の精神で、成熟経済における自社の生き様を見つけてきている。 その横で、相も変わらず国頼みや税金投入待ちの他力本願企業もゴロゴロしている。

 個人や一般生活者からみた場合、どちらの企業を応援したいかは考えるまでもないこと。 ところが、国の政策は往々にして税金で食っているだけのゾンビ企業に予算を振り分けたがる。 それは成熟経済の健全な発展とはほど遠いもの。 

 そこに長期投資の重要性が浮かび上がってくる。 民間の資本だ、どういった方向へどのように動かすかは、まったくの自由である。 長期で大きな広がりを持ったリターンを模索していくことも、お金の出し手の判断と納得次第である。

 もちろん、経済活動だから採算に乗らないものは、どんどん切り落とされていく。 世の人々に受け入れられ、時の経過に耐えられるような社会性を持ったビジネスでなければ、永続性のある繁栄はない。 そこをしっかり押さえた長期投資というものが、日本にもっともっと増えていってもらいたい。

 そういった長期投資の啓蒙は、これからますます力を入れていかなければならない。 一方、その横で長期投資の実践の成果を世にお見せしていくことも、絶対に欠かせない。 百聞は一見に如かずで、実際の成功モデルを見てもらうのが一番である。

 そこに、さわかみファンドの社会的な存在意義がある。 運用サイドでは本格的な長期投資をどんどん進めてくれている。 投資先の企業さんの間でも、長期の本格的な応援団だという認識が広がっている。

 しかし、運用成績はまだまだである。 2007年の7月にかけて基準価額20,000円を超えたあたりまでの高値で、ファンドをお買いいただいた仲間の皆様を考えると、こんな成績ではお話にならない。 一刻も早く現在の16700円前後を、2万数千円の線までは持っていきたいものだ。