しょせん相場、しかるに長期投資は?

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  今日は投資の成績について書こう。 なぜ、その気になったのか? この4か月間で株価が40%を超す上昇をみたこともあって、ここへきて運用成績を語る記事が多くなってきた。 また、それが投信などの販売増加にもつながっている。

 まあ、それはそれでいいでしょう。 ただしだ、しっかり考えておきたいことがある。 目先の数字や成績に一喜一憂するのは自由だが、それと長期の財産づくりとはまったくの別物であるということだ。

 早い話、昨年の11月前半までは、ほとんどの投資家が青息吐息で成績を語るどころではなかった。 やっていることといえば、日本株の投資ポジションを機会あるごとに下げるか、塩漬け投資となっている状態を嘆くばかりだったはず。 とてもではないが、この安値を買っておこうなんて気概などさらさら持てなかった。

 それが、ここへきての株価上昇で塩漬け投資が大幅に改善したり、一部でプラスに転じてきた。 その数字回復を見て、成績がいいとかを騒いでいるだけではなかろうか。 逃げて逃げまくっていて、たまたま相場が上昇に転じてきたから鼻を高くしているだけ。 そういった投資家や投信の成績は、しょせん相場動向次第といってよい。

 一方、われわれ長期投資家はここぞ企業を応援すべき時と、ありったけの資金を株式市場に投入していた。 ここは成績を云々する時ではない、とにかく1円でも多く経済の現場に資金を供給して景気回復を促すのだといって、下げ相場を買い向かっていた。 それが長期投資家の真骨頂だと意気軒高だった。 

 この違いは、まだ結果として表面化していない。 それどころか、ここまでの株価の全面高はむしろ相場次第の投資家に分がある展開となっている。 逃げて逃げまくっていたのに、株価全般の戻りにはすうーっと乗れてしまった、といった感じ。 応援させてもらう企業を厳選していたこちらにとっては、なんなのそれはといったところだ。

 まあ、こういった相場展開はよくあること。 目先の成績に目くじら立てることもない。 そのうち、また時間がたてばたつほどに、大きな違いとなってくるだけのこと。

 理由は簡単で、相場動向次第の投資はしょせんそれだけのこと。 この上昇相場がどこかで調整局面を迎えたら、またぞろ青ざめて不安顔となるだろう。

 もうひとつは、もっと本質的なことだ。 それは、いずれ株価上昇も全面的な歓迎相場から、銘柄選別の段階に入っていく。 そのあたりから、さらに買われる企業と、むしろ売られていく企業とがはっきりしてくる。 われわれ長期投資家にとっては、待ってましたのステージである。

 ここからの展開をじっくり眺めていきましょう。 おもしろくなりますよ。

 

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