史上最高値を更新、さて日本では?

Browse By

 NY 株式市場は昨日、史上最高値を更新した。 あれだけ、住宅不況や金融不安を騒がれてきたのに、いつの間にか株式市場は戻ってきていたわけだ。

 背景には、米国の中央銀行にあたる FRB (連邦準備理事会) が史上空前の金融緩和と未曾有の資金供給を実施し、それが経済の現場で効果が出はじめてきている点があげられる。

 前にも書いたが、米国の場合は低金利政策が経済活動全般を刺激するのは、まさに教科書通りである。 銀行など一部の業種では金融バブル崩壊の後遺症が残るものの、米国経済全体でみると超低金利政策とジャブジャブの資金供給は必ず効いてくる。 なにしろ、金融や住宅産業だけが米国経済ではないのだから。

 おそらく経済活動のあちこちで前向きの動きが高まってくるのだろう。 それを予見するかのように株価がじりじりと上がってきて、いよいよ新高値の領域に入ってきたわけだ。 この流れで米国経済は金融バブル崩壊のマイナスを克服して、上昇軌道に乗っていくことになろう。

 ひるがえって日本は、アベノミクスを好感して株式市場や経済活動の現場で明るさが出てきているが、このムードをなんとしても高めていきたいものだ。 経済は生き物だから、人々の前向きのムードも景気浮揚に重要な役割を果たす。 時として、政府の景気対策よりも大きな効果をもたらしてくれる。

 ちなみに、株価がどんどん上昇していけば資産効果で放っておいても消費や企業の投資活動を高まっていく。 したがって、アベノミクスどうのこうのを云々するよりも、国民一人一人がどんどん株を買っていくことだ。 株価が先行上昇していけば、いくらでも経済回復を先導することができる。 したがって、ここは素直にというか悪乗り気味にでも株価上昇に一人でも多くの人が参加したいもの。

 これは、みなが意識したい大事なポイントである。 日本の場合、超低金利政策は米国のようなプラス効果を生まない。 なにしろ経済規模の1.7倍もの個人マネーが預貯金に眠ってのだから、家計の利子所得を奪えば奪うほど個人消費は落ち込み経済全体にマイナスとなる。 これは何度でも指摘するが、1993年の9月からの超低金利政策が日本の家計や経済をどれほど痛めつけてきたことか。

 日本の政策当局は超低金利政策のマイナス面を考えようともしない。 一方、日本の家計はただ安全だからと預貯金に資金を寝かせておいて、得べかりし利子収入の山を延々と積み上げているのだ。 よく言われる金融教育とかも、この辺りから物事を考えることだ。 経済全体にどれだけもったいないことか、もっともっと意識を高めたいもの。

 その意味でも、預貯金から自分のお金を引き出して株を買うことは、資産防衛であるし経済活動活性化に積極貢献するのだ。 どれだけ大事な行動か一人一人が認識を高めようぜ。

 明日は工場訪問のためブログお休みです。

 

 ブログへのコメントや質問への回答は、毎月第2第4水曜日20時より配信される生放送番組、「インベスターズTV水曜劇場」にてお答えしております。 当ブログでお答えすることはありませんので、ご注意ください。 インベスターズTV水曜劇場は http://www.investors-tv.jp でご覧になれます。

 

 【広告】

 本の紹介です。電子書籍版で、スッと読めるボリュームに抑えています。

 澤上篤人の新著「長期投資家のための企業分析と実践」が発売されました。 普段「なぜ長期投資・運用が必要か」を題材にした本、またはセミナーが多い著者ですが、今回は、その実践編となる企業の分析方法などを具体的に書いています。 直接投資をされない方でも「富とは」「費用とは」を考えることができる一冊となっておりますので、ぜひご覧ください。

 さわかみ投信取締役運用本部長の黒島氏の本も合せてご紹介します。ちなみに、黒島氏の本は紙媒体も用意しております。

 澤上篤人「長期投資家のための企業分析と実践」
 https://play.google.com/store/books/details?id=C3cfzZzBRNUC&source=gbs_api

 澤上篤人「お金をまわして日本を元気にさせよう」
 http://itunes.apple.com/jp/app/id475297966?ls=1&mt=8

 黒島光昭「特許物語」
 http://itunes.apple.com/jp/app/id459089234?ls=1&mt=8

 http://scps.shop28.makeshop.jp/shopdetail/002000000001/