週末は北九州市の小倉と北陸の金沢で勉強会があった。 どちらも50人前後の中規模だったが、ずいぶんと盛り上がった。 それが故に、3か月後から半年後にはまたやるぞと次のセミナーを確約の運びとなった。
小倉ではファイナンシャルプランナーの方々が中心で、皆さんすごく勉強をしている。 FP としての研修を、そこまでも積んでいるのかといえるほどに踏まえた上で、日々の金融関連の仕事に携わっている人たちだ。
質問を受けているうちに、すごい危険を感じた。 この30年間の金融の時代や年金運用万能の時代を背景とした理論構築と実践法に、皆さん一人一人が真面目に取り組んではいるものの、これからの大きな変化には全くの準備不足となっているのだ。
早い話、世界主要国を巻き込んだ金融バブルは崩壊し、その後始末で先進国の政府や中央銀行そして大手銀行はいばらの道を歩んでいる。 なんとしても金融不安と信用機能のマヒを抑え込もうと、史上空前の金融緩和と短期金利ゼロ政策に踏み切っている。 その横で、大量の国債発行は続いているのだ。
先進国政府は信用不安の一掃と景気回復を謳っているが、実態は完全にインフレ政策に舵を切ったといえよう。 となると、この30年間で培われてきた債券安全神話も、足元から崩れていくことになる。 やっかいなことに、年金資産が積み上がり一途だった時代は、先進国人口の高齢化で峠を越えた。 これまでのような債券の買い越し一辺倒はなくなる。
一例をあげただけだが、これから世界の金融界はもちろん年金の運用においても投資の実戦でも、まったく違った展開が見られようとしている。 それに対し、この30年ほどで正当化されてきた理論や投資手法が、果たしてどこまで通用するものか。 おそらく相当な大混乱に陥るのだろうが、そこをどう乗り切るのかの読みと実践がこれから問われるわけだ。
やるべきは、そのあたりの勉強である。 皆さん、ちょっとショックを受けたようだったが、これまでの勉強では間に合わないところが意識できたようで、懇親会では大いにほぐれてくれた。 次回の勉強会ではかなり前進できるだろう。
金沢では若い人たち中心に、成熟経済をどう前向きに生きていくかを質疑応答で、熱くやりあった。 経済の発展段階から高度成長期までは、企業が経済活動の前面に出て供給サイドの論理で押しまくる。 そのパターンが成熟経済となってくるに従って、生活者や消費者が経済を大きく左右するものに代わっていく。 需要サイドが企業活動に大きく影響を及ぼすわけだ。
われわれ生活者がどんな経済や社会を築いていくか、自分たちで考え行動することが問われる。 それを、2時間半にわたって取っかえ引っかえで、いろんな質問の答えに乗せてやった。 皆さん、なるほどなるほどとイメージがどんどん高まっていったようで、会場の雰囲気がやたら熱くなっていった。
こういった勉強会は、もっともっとやっていきたいものだ。 われわれ生活者一人一人が意識して経済や社会を良くしていこうとすることが、すべての始まりである。 人々の意識さえ高まれば、世界最大の眠れる資源である預貯金マネーという武器もある。 どんなことでもできてしまう。
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