さわかみグループで一つの柱となっている ”さわかみ投信” では、さわかみファンドを設定以来ずっと月中報告書と月次報告書をお客様にお届けしている。 もう、13年半になる大事な大事な作業である。
作業と書いたのは、それなりの経緯がある。 さわかみファンドの運用哲学から現在の運用状況まで、月半ばと月末の月2回ベースで、その日のうちにお客様に届けようというのは、ファンド設定前からの構想である。 ところが、投信の運用状況を当日のうちに発送しようなんて概念は、13年前も現在も、日本はおろか世界中にもない。
せいぜい、原稿データを翌日受付して、2日とか3日後の発送が最速のサービスである。 それを外部発注すると、コストがべらぼうに高くなる。 一番コストが安いのは、翌日受付して1週間以内の発送という条件である。 それでは、間延びもいいところ。
そもそも、月中報告書や月次報告書は法律で定められたものではなく、さわかみファンドが何としてもやろうと決めたこと。 そうはいうものの、ファンド設定から8年ほどは真っ赤かの赤字だったから、そんな大金を払う余裕もない。だったら、自前でやってしまえということで、社内での手作業が始まったというわけ。 あらゆる工夫を凝らして、どこよりも安いコストで、その日の発送体制を築き上げた。
どうして、その日のうちの発送にこだわるのか? 長期投資というものは、実ってくるまで時間がかかる。 本格的な長期投資という概念も実例もない日本で、さわかみファンドが掲げる長期の財産づくりという旗に、どこまでお客様がついてきてもらえるかわからない。 長期投資の果実が大きく実ってくるまで頑張り抜いてもらえないと、せっかくのご縁が申し訳ない結果に終わるということにもなりかねない。
よし、それなら月2回の報告書をお届けしよう、そう決めた。 ともすると挫けそうになるファンド仲間に、これでもかこれでもかと長期投資の考え方というものを放り込んでやろう。 同時に、運用ポートフォリオをすべてさらけ出して、長期投資の成績がどのようにして積み上がっていくかを実体験してもらう。 短期投資では味わえない長期投資の醍醐味というものを、時間の経過とともに堪能してもらうのだ。
そんなわけで、さわかみ投信では月中報告書と月次報告書をものすごく大切にしている。 毎回の原稿作成にも、相当に思いを込めてファンド仲間とのつながりを高めようとしている。
この作業は、”さわかみファンドの長期投資” というものが日本中に行き渡るまでは、ずっと続く。 ”ああ、あの長期運用の船ね。 安心して乗っかっていれば、いいんだろう” という言葉が常識になるまでは、とことん続けてやる。 それも、さわかみグループの挑戦である。
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