米国の長期金利

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 米国債の10年物の流通利回りが、終値でも1.3%台に入ってきた。 先日はザラ場で一度1.3%台に入ったものの、終値では1.4%台に戻していたから、今回が実質的に史上最低水準を記録したということになる。

 まあ、それだけ世界のマネーがリスク回避に向かっているわけだ。 これまで、散々ぱら米国経済はもうダメだ、中国に追い抜かれるといわれてきたのに、いざとなると世界最大の借金国である米国を頼むしかないと投資家は考える。 いい気なものだよね。

 裏を返せば、投資家全般の判断や行動なんて、こんな程度のものともいえる。 平常時はいろいろなデータや理論を振り回して、もっともらしい説明がつくような投資をしているが、不安心理が高まってくるやまともな価値判断など捨てて逃げに走る。 彼らが逃げ込む先は、世界で最も流動性が高い米国債となる。 いつでも現金化できるから、一番安心だということだ。

 すこし前までの米国凋落論はどこへやら、猫も杓子も米国債頼みという世界のマネーの無定見さは、いまに限ったことではない。 その無定見さが、世界のマーケットでの価格決定に大きな影響を及ぼしている。 その価格に多くの投資家はさらに不安心理を煽られるという具合に、悪循環が続くのだ。

 こういうときほど、本当の価値判断が問われる。 不安や恐怖で冷静さを失った価格決定が続いているのだから、しっかりした価値判断に基づいて行動しようとする投資家から見れば、野原一面に宝物が転がっているようなもの。 

 いまは、いろいろな価格に大きな歪みが生じているはず。 その最たるものが、買われすぎの米国債であり、売られすぎの株価であろう。 そういうことならばと、米国債を売って個別株を選別買いしておこうという投資判断が出てきて当然である。 しかし、現状は米国債買いの株売りという流れになっている。 われわれ長期投資家にとっては、すごいチャンスである。

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