日本の農業はダメだダメだといわれ続けてきたが、一番の問題は経営力がないことだろう。 もっとも、最近は全国あちこちで自主的な拡大経営で成果を上げている農家さんが増えてきた。 これはすばらしいことで、もっともっと後に続いてもらいたいもの。
そもそも、日本の農業は昔から自立していたし食料自給率も100%だった。 ところが、戦後の農地解放で大地主を追放し、ずっと小作人だった人々に農地を分け与えた。 誤解を恐れず敢えて言えば、戦前は大地主がきちんと農業経営をしていたから、日本の農業はそれなりに自活できていた。 なかには、強欲な大地主もいただろうが、そういった地域では小作人が疲弊して農業そのものが成り立たなかった。
申し訳ないが、小作人はやはり小作人で、農業経営というものの重みも責任も経験したことがない。 そういった人たちが突然、農地を手に入れて自分で農業経営に当たることになった。 天候など自然との折り合いをどうつけていくか、現在の市況に対し収穫期の需給をどう読んでいくか、コストをどう抑えていくか等々、農業を営んでいくにあたって学ばなければならないことが山ほどある。
ほとんど農業経営を経験していない新米農家に対し、新しく指導する立場で登場してきたのが農協である。 ずっと税金で食ってきた役所的な人たちが、新米農家の経営を指導するとなれば、なにおかいわんやだろう。 彼らは事業経験などないから、富を創出する工夫やコスト削減に知恵を絞ることに、どこまで指導力を発揮できようか。
戦後60年経ってみると、日本の農業は驚くほどに衰退してしまった一方で、農業関連予算は増え続ける一途である。 小規模農業をなんとかしなければといわれ続けているものの、一向に抜本的な改革がなされない。 びっしりはびこった政治や役所そして関連団体の利権や既得権が、がんじがらめに日本の農業を締め上げてしまっているのだ。
このがんじがらめを打破するには、最初に書いたように自主自立の農家さんがどんどん増えていってもらうしかない。 それと同時に、生産性の悪い農業経営でいつも高い農作物を買わされ、高い税金を払い続けている一般生活者が選挙ではっきり意思表示する必要がある。 そうしないと、日本農業の抜本改革は永久になされない。
世界の将来需要からみても、日本の農林水産業は最大の成長産業なのに、なんとも惜しいことである。
明日のブログはお休みです。
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