金融と実体経済

Browse By

金融は本来、経済活動の潤滑油としての働きをするもの。

いってみれば、経済全体に酸素や栄養分をまわす血液としての役割を果たす、

極めて重要な機能である。

 

そのなかには、与信や決済業務あるいは投資といったものがはいってくる。

どれも経済活動を促進させる役割を果たす。

 

ところが、この40年ちょっと金融が実体経済を振り回す度合いが加速的に強まってきた。

最初は、ユーロダラー市場の勃興である。

いわゆるオフショアマネーがどんどん積み上がっていき、

それが世界中に投資機会を求めて動きを活発化していった。

 

次に、年金など機関投資家資金の運用本格化である。

積み上がる一途の年金資金が世界の債券市場や株式市場で買いの主役として、

急速に存在感を高めていった。

巨額の資金を背に買えば上がるで債券価格や株価が長期の上昇トレンドを描き、

膨れ上がった評価益をベースに機関投資家資金は、

さらなる投資対象を求めて世界中を徘徊するようになっていった。

 

そして登場してきたのが、ヘッジファンドとか証券化商品といったマネー資本主義の代表選手たちだ。

このあたりになってくると、

実体経済の潤滑油どころか金融そのものを相手に利益獲得を狙うのを当たり前とする。

 

めんどうなのは、

通信手段やコンピュータの発達で瞬時に巨額の資金を移動させたり売買を執行するのが、

いとも簡単にできること。

そうなると、もう実体経済などそっちのけで金融のための金融が独り歩きを始めてしまう。

その方が、よほど手っ取り早くお金を稼げる。

また、実体経済のようなモノの調達といった制約はなく、

ただお金を付け替えるだけだから金融ビジネスは天文学的な金額を扱える。

 

かくして、マネーの暴走が世界経済を好き勝手に引きずり回す図式が出来上がっていった。

生活者にとってはいい迷惑だが、マネー暴走の一角にわれわれの年金資金も参加しているのだ。

この矛盾、皆さんどう思いますか?

 

われわれの長期投資はマネー遊びなど興味ない。

あくまでも、生活者のための経済発展に貢献すべく、リスク資金を経済の現場に投入する役割を果たしていく。