最近の新聞紙上では、
驚くほど多くの企業が収益力を高めてきている様子を報道する記事が、まさに踊っている。
数ヶ月前までは、
円高で日本企業は大幅減益を余儀なくされるといった悲観記事のオンパレードだったのとは、
えらい違いである。
われわれ長期投資家からすれば、
個別企業の経営状況をずっと追い続けているから、いまさら業績向上を騒ぎ立てることもない。
もちろん、円高だ大変だでやたらと売られていたところをたっぷりと買い仕込んであるから、
ここへきての株価全般の上昇は ”来たぞ、来たぞ” と歓迎するばかり。
楽なものである。
それよりも、日本企業の経営進化には改めて勇気づけられる。
1994年から95年の4月にかけての超円高時には、
多くの企業がこのままだと潰れるぞといった深刻観を漂わせていたものだ。
大変な事態だとにかく防御を固めようということで、輸出企業を中心に縮小経営に走るところが続出した。
それを見て、マスコミは下請け企業などを切り捨てる大企業の横暴だと非難を集中させた。
バブル崩壊と超円高のダブルパンチを浴びた輸出企業は懸命に生き残りをかけて、
それこそ身を削りまくる努力を重ねた。
その結果、一社も潰れることなく超円高を乗り切った。
一方、国内企業の多くは金融機関を含め政府の救済やら延命策頼みに終始して、自助努力を怠った。
そして、90年代後半から2003年にかけて、多くの国内企業が倒産した。
輸出企業は自分の身を切ってでも生き残り、
マスコミからゴーゴーたる非難を浴びたものの多くの雇用を守った。
それに対し、国内企業や銀行は潰れたため、失業者を続出させた。
経営の厳しさや辛いところだが、結果は必ずついてくるものだ。
それから15年、日本企業の円高対応ぶりは様変わりとなった。
リストラ努力は恒常的に続ける一方で、
円高を利して積極的に攻めの経営を展開する企業が、華々しい活躍を見せてくれている。
円高なら海外資産が安く手に入るチャンスとばかり、
すさまじい勢いで海外の企業や資源などを買いあさってきている。
それも、自社の将来成長に欠かせない布石を打つのだという、
極めて戦略的な先行投資を繰り広げているのだ。
業績がずいぶん向上してきたが、楽しみはまだこれからと思える企業がゴロゴロしている。
長期投資の醍醐味だね。