米国債売りや長期金利の上昇をみて、トランプ政権は譲歩しだしている。
それを受けて、もろ手を挙げるように米国はじめ各国の株式市場は急反発に入っている。
この戻りは、そう続かないだろう。 売りたいものがあれば絶好のチャンスととらえたい。
なにしろ、あの関税マンは元の自由貿易体制に戻す気なんて、さらさらないのだから。
自由貿易にブレーキをかけた分だけ世界貿易は縮小するし、インフレを助長する。
どちらも、企業の発展や収益活動には足かせとなり、それだけ株価は売られる要因となる。
ともあれ、トランプ政権は、ふたこと目には取引だといって脅してくる。 これも、まともな経済活動を阻害させる。
個別の取引が進行して、それぞれの条件で個々の経済活動がバラバラに動きだせば、全体は混とんとするだけだ。
そういった混沌混然とした経済活動に対し、透明性や公平性をということで、自然発生してきたのがマーケットである。
あらゆる価値観や利益目的が自由自在に集まってきて、需要と供給の力関係が時々刻々と調整されていく。
時々刻々の調整点が市場価格となって公にされ、その価格情報が次なる経済活動を誘引することになる。
これらのマーケット機能を阻害させれば、経済活動のあらゆる現場で混乱を発生させ、経済活動にブレーキをかけるだけ。
いまトランプ政権は、180の国などと個別に関税交渉を重ねているとのこと。
脅しでもって、強引にディール(取引き)条件を引き出そうとしているわけだ。
これなんぞ、マーケット機能の無視もきわまりない。 それだけ経済活動は阻害される。
となれば、米国を中心に世界貿易を縮小させ、コスト高つまりインフレ要因となっていく。
その先では、企業業績の悪化や市場金利の上昇となって、株式市場はじめマーケット全般に売りを誘引させる。
そう、トランプ政権が支離滅裂の場当たり的な政策を連発すればするほど、マーケット全般を下押しさせるのだ。
すくなくとも来年11月の中間選挙までは、強引きわまりないディール(取引き)を連発しよう。
これからも、どんどんマーケット下押し要因を積み重ねていってくれるわけだ。
われわれ本格派の長期投資家からすると、どうなっても慌てることはない。
長期投資家はいつもマーケットとはつかず離れずの立ち場を守る。 だから、トランプ政治も高みの見物である。