二転三転を繰り返すトランプ政治に、投資家のみならず、経営者もさぞ悩ましいところだろう。
大きな長期戦略とか普遍的な価値観に基づいた政策ではなく、ディール(取引き)で獲れるものを最大化すべし。
そういった政策運営を脅しでもって強引に進めていけば、世界各国はとてもついていけない。
また、どの国あるいは企業が抜け駆け的に良い条件をトランプ政権から引き出すか、疑心暗鬼も高まる一途。
そんな展開で、世界のマーケットも企業経営もトランプ政権のご都合主義に振り回されるばかり。
とりわけ、企業経営者にとってはトランプ関税や二転三転の政策変更に、どう対応していくか判断に苦しむ。
判断に苦しむものの、経営は続けていかなければならない。 利益も出していく必要がある。
そうはいうものの、トランプ政権のご都合主義的な政策には、まともな経営戦略も立てようがない。
常識も経済合理性も踏みにじって、MAGA(米国を再び強国に)一点張りの取引を押し付けてくる。
商取引の大前提である信用や契約履行もないがしろにされていく懸念もある。
とりわけ中国に対しては、104%とか124%の高関税を課し、中国もそれに対抗しようとしている。
米中間の貿易戦争が過熱していけば、とんでもない経済混乱も起こり得る。
最大の懸念は、追い詰められた中国が保有している米国債を売却するなどといった決断だ。
中国は日本に次いで世界2位の米国債保有国で、その額はおよそ110兆円に上る。
その一部でも売りに出されると、米国の長期金利は急騰し世界経済は大混乱に陥ることにも。
なんとも悩ましい経営環境に、どの企業も追い込まれつつある。
その点、投資家はまだ楽である。 君子危うきに近寄らずで、分からない時はマーケットから離れていればいい。
もし投資ポジションを抱えているのなら、昨日今日の戻り高を売り上がっていくこともできる。
ずっと唱えてきた、カネ余りによる張りぼて経済の終焉だが、それをトランプ政治が引き金を引いた。
どっちみち、大きな混乱は覚悟しよう。 それが、世界の経済の健全化への第一歩となる。
はっきりしているのは、世界82億人の生活やそれを支える企業活動も無くなりっこないことだ。
そこをベースにして、経営も投資も組み立て直しだ。 まさに、われわれ本格派の長期投資家の出番である。