大義 vs 取引

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トランプ政権が次々と政策を打ち出しているが、どれもこれも言いたい放題やりたい放題の感がある。

その手法には、米国の利益というか彼の思うがままを、強権と取引とで引き出そうとする強引さが目立つ。

反面、さっぱり見えてこないというか感じられないのは、社会正義とか大義といった政治家としての根本思想である。

一体なんのため、誰のために米国の大統領となったのか、そういった政治信条などかけらも感じられない。

そんなことよりも、トランプ氏は取引成果を顕示することに重きを置いている。

たとえば、ウクライナへの武力侵略は横へ置いて、ロシアと交渉して戦争を終わらせる。

悲惨な侵略戦争の是非とか社会正義などよりも、ウクライナでの戦争も自分の実績づくりに利用しようとする。

戦争状態をとにもかくにも終わらせたいうことで、その先ではノーベル平和賞を狙っているとか。

そんなトランプ氏を選んでしまった米国民は、さぞこれから後悔の念に苛まれよう。

世界にとっても、えらい迷惑である。 法による秩序など無視して、ひたすら良い取引成果を挙げようとする。

そんなトランプ政治には、とてもついていけない。 それが、世界各国の反応ではなかろうか。

一方、独裁政権や権威主義国家のトップ達からすると、格好の親玉が出てきてくれたと大歓迎だろう。

強引に国境線を変更したり、武力でもって反対派を圧し潰したりと、世界はどんどん無秩序となっていく。

そこへ関税戦争で世界貿易が縮小を迫られると、世界経済の成長率は落ち込む。

それはそのまま、低所得層の拡大や貧困層の増加に直結し、地政学リスクを高める一途となる。

もともと世界のインフレの根は深かったが、その度合いをさらに加速させかねない。

ここからが大事なところで、政治の世界は時として力の支配が無法や無秩序を際限なく拡大させる。

その点、経済の分野では一方向へ行き過ぎると、その間に逆方向へのエネルギーが着実に蓄積されていく。

そして、突然どこかで蓄積された反動のエネルギーが爆発する。 この振り子現象は、必ず起こる。

その時は、トランプ政治だろうと独裁政治だろうと、たちどころに吹き飛ばされよう。

われわれ本格派の長期投資家は、最長でも4年のトランプ政治などに振り回されることなく、地道な投資に徹しよう。

いな、むしろトランプ政治で経済やマーケットが大荒れとなればなるほど、大バーゲンハンティングの機会到来だ。

世の中、なにがあっても人々の生活はなくならない。 それを支える企業活動も一時として止まらない。

そこのところだけを、しっかり押さえて、どっしりと長期投資を進めていこう。