株価も経済も徐々に上昇機運を高めている。 株価でいえば、ここまで40%強の上昇は売られすぎの反動といった面も強かった。 そこへ、少しずつ本気で株価上昇を意識した買いが入りだしたところである。 したがって、ちょっとした売りがかさむと投資家の買い意欲はさっと冷えてしまうだろう。
経済においても、高額品が売れだすなど個人消費に動きが出てきている。 とはいえ、一般生活者からみればまだ景気回復は半信半疑までもいっていない。 自分たちの収入が増えたりで、景気が上向いているという実感が出てくるまでは様子見という人たちが大半だろう。
その横で、債券投資家は右往左往している。 日銀による国債の大量買入れは債券相場の需給にプラスだが、かといって相当な高値圏にある国債をここからどこまで買ってよいものか悩ましいところである。
いってみれば、おっかなびくびくの上昇トレンドの中にいるわけだ。 株価も景気もこのまま上昇基調を維持してほしい、できればもっと実感を伴ったものになってもらいたい。 そう、国民の多くが願っているはず。 ただ、本当にこのまま上昇基調を固めてくれるのかどうかは、いまいち自信がない。
こういったときほど、長期投資の考え方が重みを増してくる。 いつも物事を根っ子から考えて、世の中でどんなことがあっても変わらないものと、その時々の状況で変わっていくものとを分けて考えるのだ。
いつの時代でも、またどんな政体になろうとも変わらず存在するものは、人々の生活である。 そして、その生活を支える生産と供給活動である。 人々の生活と、それを支える企業のビジネス活動に、お金をまわしてやることは経済の根幹であって、なにがあろうと絶対になくならない。
一方、景気動向や株価はしょっちゅう上がったり下がったりする。 これには、人々の欲望の膨れ上がりや、その反動として恐怖の広がりが大きく関与する。 物事がうまく転がりだすと、もっともっと稼ぎたいと欲望が止めどもなく膨れ上がっていって、バブルのような現象に突入していく。 それが逆回転して、損しそうだとなると大慌てで逃げ出すのが、古今東西の人間模様である。
いま日本そして世界を眺めるに、バブルのような浮かれた状況はどこにもない。 せいぜい、世界中で国債がバブル化の懸念を高めているぐらいだろう。 人々はとみると、みな現状の停滞低迷から抜け出したいと真剣そのものである。 ということは、長期的に見て景気もそして株価も方向は上である。
ここまで考えたら、すっきりと行動できるはず。 世界中の人々がより豊かな生活を目指して頑張っている。 どこを見ても、欲望がバブル化している様相はさらさらない。 まだまだ必死の頑張り状況下にある。 となれば、ここは世の先頭を切ってでも、経営や投資の視点を拡大再生産の方向に置いていいはず。
つまり、株もどしどし買っておけだ。 ただし、ここからしばらくすると株価全面高から、選別投資の段階に入っていくから、応援する企業を厳選することは忘れまい。