寄付の文化が定着すると、すごいことができる! (中篇)

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日本の個人や家計は880兆円もの預貯金を抱えている。 その60%強が、65歳以上の高齢者に所有されているといわれている。

高齢者層は年金生活者が多く、これといって収入がないから、どうしても預貯金を抱え込みがちとなる。

その人たちに寄付しようというのも酷である。 先行きを考えると、手持ちのお金を減らしてしまうのはつらいと考えるのは人情である。

一方、現役層は住宅ローンや教育費に追われて、そうお金に余裕はない。 それで、長期投資ですらなかなか踏み込めない人が多い。

ということは、日本に寄付文化を定着させるのには、なかなか難しいものがある。 そう考えたくもなる。

ちょっと待て! 寄付大国の米国はどうだろう?  日本よりはるかに所得格差が大きいし、企業は簡単に人員整理する。

米国人の生活は意外と不安定だし、医療保険も任意の部分が多い。 将来不安どころか現在の生活でさえ厳しい人たちは一杯いる。

それでも、いざという時のために、お金はしっかり貯めておこうなんて考えはしない。

彼らにとっては、稼いだお金はつかうべしだ。 生活のための消費や、将来に向けての投資、そして寄付にまわそうとする。

そんなわけで、トータルの寄付額は日本を遠く引き離している。 社会全体では、富がごく自然に再分配されているのだ。

この違いはどこから来るのだろう? もともと消費大国といわれてきたように、アメリカ人はあまりお金を抱え込まない。

といっても米国で、お金を抱え込むのは罪悪であり、天下にまわすべしといった説教など聞いたこともない。

実は、そんなこと経済あるいは人間社会の当たり前の姿なのだ。 お金がまわることで経済は動き、そこに人々の生活もある。

いちいち考えずとも、誰だってわかる。 お金がまわらなくなると、人間社会とりわけ現代生活は成り立たなくなると。

ひるがえって日本では、ひたすらお金を抱え込もうとする。 日本の方が、よほど歪んでいるのだ。

どうしたら良い? 長期投資と寄付の文化を高めない限り、日本経済や社会の活性化はないと強く訴え続けよう。

同時に、その大事さが分かる皆さんからどんどん行動に移していこう。 わかった人から動く、それしかない!

しっかり長期投資していけば、預貯金など比べものにならないほどの財産づくりとなっていく。 よほど、自分自身に得となる。

なかなか寄付できない人も、長期投資で殖えだしたお金の一部を寄付にまわすのなら、そう抵抗ないだろう。

長期投資と寄付でもって、日本経済の将来のために大きな貢献をしているという意識と気概を持って生きていこうではないか。

どうせ、そっちの方向へ日本は動いていかざるを得ない。 それに先行するのは気分のいいものだよ。