ここへ来ての株高、むしろ当たり前

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 12月に入ってからの株価上昇をみるに、せいぜい総選挙までのお祭り騒ぎとみる向きが多い。 あるいは、NY 市場の史上最高値追いにつられての写真相場に過ぎないという人もいよう。

 写真相場とは、昔から日本株市場では機関投資家を筆頭にして主体性を持った投資家が少なく、NY 市場の前日の動きに連動した展開となるケースが多いことをいう。 それが故に、NY 市場がコホンと咳をすれば日本株は風邪をひくと、しばしば揶揄されるわけだ。

 たしかに、最近の値上がりピッチの速さから、これは一時的なブームと言えなくもない。 どこかで、ドスーンと調整の下げがあるかもしれない。 とはいえ、それらは相場を追いかけては短期売買を狙う投資家にとっての関心事である。

 われわれ長期投資家は、いいんじゃないの、ようやく当たり前の動きが出てきたとみる。 それだけのことだ。 当たり前の動きが出てきたとは、どんな動きか?

 国内あるいは世界経済がいろいろな理由でもたついても、しっかりと業績を伸ばせていける企業の株価は、長期的にみて上昇トレンドを描いていくもの。 そこが、長期投資家の行動ベースである。

 ところが、日本株市場ではそういった企業をきちんと評価して、さっさと買い仕込んでいく投資家らしい投資家が、まったくといっていい程いない。 個々の企業の業績動向や投資価値よりも、経済全体の指標や市場環境でもって投資判断する投資家がほとんどである。

 とりわけ、この20数年間というもの企業や銀行による持ち合い解消という構造的な売り圧迫要因が、ずっと日本株市場に重くのしかかってきた。 なにしろ、東証一部上場企業による全発行株数の55.3%まで買って買いまくった法人筋が、なんと47%分つまり持ち合いが8%に下がるまで売って売りまくってきたのだ。

 株価お構いなしに叩き売られ、戻ればまた売られの連続で、日本株市場の下落と長期低迷がずっと続いたわけだ。 その結果として、本格的な上昇相場と良いうものを知らない投資家が大半となってしまった。

 その間、ヘッジファンドの存在感が日本株市場を左右するほどまでに高まり、インデックス先物取引も一気に普及した。 ちなみに、機関投資家の日本株運用の80%前後がインデックス売買となっている。

 そんな背景とは関係なく、一部の日本企業は日本の不良債権問題処理やリーマンショックなどを乗り越えて、最高益を更新してきている。 したがって、そういった企業の株価が上伸してきても当たり前じゃないのとなるわけだ。

 そして、業績の伸びに裏付けられた企業の株価は、これからもさらなる上値を追って行っていいはずと考える。 それが、本格的な長期投資というものである。