ヴィレッジ候補地

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 昨日は丸一日をかけて、さわかみ財団が進めようとしているヴィレッジ候補地にスタッフ全員で現地視察した。 今回の視察で5回目となり、その地の年間の自然環境というか雰囲気が大よそつかめた。

 そこは、緩やかな南向き斜面が延々と続いている畑地の一角で、ずっと下方を流れている川を挟んではるか遠くの対岸には山並みが見える。 いってみれば、360度の視界が広がっている見事なるオープンスペースである。

 よし、これでいこうという方向で皆の意見も固まり、いよいよ土地の取得交渉に入ることに決めた。 建造物の撤去もあり、いろいろなコストがかかりそうなので、かなり厳しい価格を提示することになる。 

 土地の所有者が OK を出してくれたら即刻の行動開始となる。 金額的に折り合わなかったら、そこは縁がなかったことにしようと思う。

 理由は単純明快である。 そもそもヴィレッジ計画は自然豊かな地にゆったりと暮らすためのもので、開発や宅地販売などの商売をしようとするものではない。 その地が酷い荒地であっても、皆が心豊かに暮らすことで、いくらでも素適な生活空間を築いていける。

 大事なのは、その地に財団が主体となって結構大きな資金を投入して、どんどん価値を高めていくことである。 土地の取得にかかる資金はできるだけ抑えて、限りある資金をよりふんだんに豊かな生活空間へと向けるのだ。 

 この基本コンセプトは絶対に守りたい。 土地は生かすものである。 財産として保有することに価値を認める経済成長期ならいざ知らず、成熟社会の日本では土地をどう有効に活用していくかが問われる段階に入っている。

 おそらくこれからは日本中あちこちで、いままでの発想ではどうにも有効活用できない土地が次から次へと出てこよう。 日本の人口が減っていくからだけではない。 土地に対する感覚が、財産価値から利用価値へと移っていくからだ。

 もともと自然豊かな日本の土地を、どう有効にというか有り難くつかわせてもらうかを世に問うていく。 それが、ヴィレッジ計画のそもそもである。

 大自然に囲まれて、心優しくしっとりと暮らしていく。 そこでは金銭的な価値観が支配するのではなく、人間の思いや創造力で活力があふれる空間となっていくはず。

 ともあれ、できるだけ早くプチヴィレッジでも構わないから建設に入り、こんなのがヴィレッジ計画ですよといったモデルを、お見せしたいものである。