個人の資産づくりにあたっては、「10年で2倍になればいいや」の感覚が、ピッタリである。
となると、10年や20年ずっと世の中に必要とされるビジネスを続けてくれるであろう企業を応援する株式投資がいい。
応援するという以上は、株式市場が大きく下げているような時に、「頑張ってね」とその企業の株式を買いに入る。
買った後は、ずっと放ったらかしでいい。 せいぜい毎日の生活消費で、その企業の売り上げに貢献するぐらいだ。
そのうち、株式市場が大きく跳ね上がってきたら、大慌てで株買いに走ってきた投資家たちに応援を任せよう。
つまり、ずっと放ったらかしで保有してきた株式を、すこしずつ売り上がっていくのだ。
皆が売る、安い時に買っておいたから、その株価はいつの間にか2倍や3倍になっている。
かりに10年たって、ようやく2倍となったとしても、年率にすると7.2%の資産づくりができたことになる。
6年だったら、なんと年率12%だ。 とんでもない財産づくりのペースである。
これが、長期の資産づくり投資というものである。 株式投資が資産づくり投資の王様といわれる、ゆえんである。
そこで欠かせないのは、10年20年という時間軸でみて、安定的にビジネスを展開していくであろう企業を見つけること。
そして、大きな暴落相場を待って、おもむろに応援買いに入る。 後は、ずっと保有していればいい。
こう考えてくると、今年からの新NISA制度とかで浮かれ上がった株式市場に飛び込んでいくことは、絶対にあり得ない。
ましてや、ずっと書いてきているように、リーマンショック以来の世界的なカネ余りでバブル高を続けてきたマーケットだ。
こんなところで、「10年で2倍になればいいや」の絵など描きようがないではないか。
むしろ、いずれ到来する暴落相場を3年でも5年でも待って、そこから長期投資を始める方が、はるかにいい。
このマイペースさが、われわれ本格派の長期投資家からすると、原点ともいえる考え方である。
そういった長期投資のリズムを絶対に崩さないためにも、さわかみファンドは直販にこだわり続けるわけだ。
営業で投資家マネーをかき集めようとすると、現行の高値圏でもマーケットに飛び込んでいく運用に走ることになる。
しばらくは成績を上げられたとしても、どこかで大きなクラッシュを食らって、投資家顧客に大損を与えてしまう。
そんなヘボ運用で、資産運用会社とし当然の義務である受託者責任を、一体どう果たしていけるのだろう?