投資立国だとか、新NISA制度とかで、国を挙げて国民の投資熱をなんとか高めようとしている。
国など政策当局からすると、国民の間で預貯金から投資への資金シフトが進んでくれればありがたいということだろう。
高齢化社会に向けての年金や社会保障の問題もあるし、国民の投資による老後設計がきわめて重要となってくる。
ということは、長期の安定的な資産づくり投資を、国民の間で定着させていきたいということのはず。
ところが、現実は投資なら何でもいいから、とにかく投資を始めてくれだ。
その先では、証券はじめ金融界がビジネス拡大のチャンスとばかり、大はしゃぎしする展開となっている。
この長期投資家日記でも繰り返しているように、金融ビジネスと資産運用ビジネスは、そもそも相容れないもの。
金融ビジネスでは、その時その時の商売チャンスをつかんで、一件一件ものにしていくのが勝負。
新NISA制度だとかの流れに乗って、いかに多く稼いでしまうか、稼げる時に目一杯稼いでしまえだ。
いまだったら、国民の間で資産運用ニーズが高まってきているのに乗って、次々と儲ける商品を開発する。
先ずは手数料をたっぷり稼ぎ、その後も利益が転がり込んでくる仕組みを、あれこれと講じる。
そうはいうものの、どこかで大きなマーケット暴落に遭遇するや、投資は自己責任ですよという免罪符を振りかざす。
それでもって、金融マン達はなに知らぬ顔して、次の儲けチャンスに飛び込んでいく。
そこまでの投資家顧客が大損しても、さして気にしない。 そういった、したたかさが彼らの真骨頂である。
一方、資産運用ビジネスでは投資家顧客の資産形成ニーズに応えていこうとする。
当然のことながら、10年はおろか20年30年といった時間軸で、ずっと顧客の資産づくりをお手伝いしていくのだ。
それだけの覚悟と心意気が、われわれ本格派の長期投資家からすると、あって当たり前である。
だからこそ、安定性や再現性の高い投資に徹し、なおかつ大きなマーケットクラッシュを避けようとするのだ。
証券マンや市場関係者、あるいはメディアからすると、なんとも地味で面白げなく映るだろう。
それで一向に構わない。 大事なのは大きなマーケットの下げを食らわないことだ。
どんなにマーケットを追いかけて必死に積み上げてきた利益なども、瞬時に吹っ飛んでしまう。
この長期投資家期日記の読者の皆さんも、いま一度なんのために投資をしているのか、心静かにチェックしてみよう。
ーー 今週は徳島そして青森と出張が続くので、次回は来週の火曜日となります。ーー