週末をはさんで、株式市場は真逆の展開となっている。 投資家はそれに振り回されている。
先週後半は自民党の総裁に高市氏がリードしているという報道に、マーケットはさらなる金融緩和を期待した。
アベノミクスの延長ともいえる、金利引き下げと大量の資金供給期待で、円は売られ株価は噴き上がったわけだ。
それが、金曜の午後には石破氏勝利が確定し、マーケットの期待が吹っ飛んだ。
その結果、週明けの今朝から株式市場は平均株価で1800円を超す下げとなっている。
笑ってしまう。 次期首相が誰になろうと、そういつまでも経済合理性を踏みにじった政策は続けられないだけのこと。
なのに、マーケットも投資家も、ただただ金利引き下げだ円安だに、ぶら下がり続けている。 まさに、泥縄である。
ここで、マーケットや投資家の期待とは一線を画して、経済の当たり前で考えてみよう。
最近では、世界的なインフレ圧力もあって日本の物価は2%上昇、つまりインフレ基調が定着してきている。
となると、いつまでも日本の政策金利をゼロ同然の水準に抑え込んでおくのは難しい。
早い段階で1%そして2%へと政策金利を引き上げるのが、合理的な政策である。
すると、円も高くなると読む方が自然であろう。 金利が上がって円高が進めば、マーケットには逆風となる。
われわれ本格派の長期投資家からすると、そういった状況の変化を、ごく自然体で受け留められる。
だから、ずっと前から一刻も早くカネ余りバブル高のマーケットから離れようと主張してきたわけだ。
カネ余りバブル高を続けてきた株式や債券は、ここから先もういつからでもいいが、大きく売られることになる。
ゼロ金利や空前の資金供給に踊ってきた投資対象だが、その基盤が崩れだそうとしているのだから当然である。
先ずは、やたら大きく買われてきたから、その反動売りもこれまた大きいと覚悟しよう。
つぎに、金利ある経済に回帰していく過程で、不適者の淘汰が始まる。
債券は全般的に、株式も金利上昇についていけない企業群は業績悪化で、大きく売られよう。
これまた、われわれ本格派の長期投資家からすると、ごく自然の展開となっていく。
もうひとつ、これまで政府や中央銀行が力まかせに市場での価格形成を歪めてきたけど、それが吹っ飛ぶ。
この40年間の株価や債券上昇が当たり前としてきた投資家や市場関係者にとっては、あまりピンとこないかもしれない。
だが、人為的に価格形成を歪めれば歪めるほど、その反動はきつくなる。 それも、覚悟しておこう。