おそらくだが、世界の金融マーケットは大きな調整過程に入ったのだろう。
もちろん、相場の先行きは神のみぞ知るの世界で、この先どうなるかは誰にもわからない。 ただ、大よその方向は予測できる。
今日はファンダメンタルズの読みは横へ置いて、テクニカルな面からみて世界の金融マーケットの大調整に備えようだ。
テクニカルな面? そう、マーケットでの買いと売りの力関係をみての、先行きの投資判断だ。
これまで、とりわけリーマンショック後15年にわたる空前の規模での金融緩和下で、買い上げられてきた株式や債券は天文学的な残高となっている。
どれもこれも、さらに上がるはずだという想定で買って買いまくってきた、その残高である。
買いの材料は最近の生成AIとかまで、次から次へと登場してきたが、やはり最大の買い材料は空前のカネ余りである。
その史上空前のカネ余りに対して、まるで顔面を引っ叩くかのように、ここへきて大きな下げが頻発しだしている。
そうなってくると、天文学的な規模にまで買い上げてきた残高の重さが、じわじわと効いてくる。
最初は、いま頻発してきている、まるで熟柿が枝から自然と落ちるような下げである。
そのうち、早めに手仕舞っておこうとする売りが集中しはじめ、まだカネ余りに乗った買いとの拮抗がマーケットで顕著となる。
それでも徐々にマーケットは売りが優勢となっていくと、いよいよ損失回避の売りが一斉に出てくる。
そこから先は、どどっと売られては、すこし戻し、またどどっと売られる展開となっていって、マーケットは奈落の底へと沈んでいく。
ということは、まだカネ余りの余熱でマーケットが大きく戻してくれる間に、売れるものはどんどん売っておきたいものだ。
売る対象は、この15年間で大きく買われてきたものほど、さっさと利益確定の売りを出そう。
いざ下落相場に入っていくと、大きく買われてきたものほど大きな売りに曝されるのは必定。
その前に売っておく、あるいは買いポジションを思い引き切り下げてやろう。
これは、われわれ本格派の長期投資家においても同じで、大きく売られそうなものは一度ポジションを下げておこう。
ここは現金ポジションをできるだけ高めておいて、暴落相場でのバーゲンハンティングの軍資金とするのだ。
大きな下げとなればなるほど、いまの段階での現金づくりは大きな意味を持ってくる。