米国というか、もう世界的ともいえる著名投資家がウオーレン・バフェット氏。
そのバフェット氏が率いるバークシャー・ハザウエイ社の保有キャッシュが積み上がって、45%になったとのこと。
最近も最大の保有株だったアップル株を、その半分近くを売却したばかり。
もう毎度のことだが、彼が現金比率を高める度に、さすがのバフェット氏も運用難に陥っていると報道される。
市場関係者やマスコミは、いつでも株買いの熱気が高まってくれていてほしい。
それで、これまたずいぶん前から「バフェット氏はもう古い、最近の市場動向についていけなくなった」と揶揄するを繰り返している。
しばらくして、株式市場が暴落をきたして、皆が右往左往するたびに、バフェット氏の買い出動を褒め称える。
なんだよ、ちょっと前までは「バフェット氏は古い」と揶揄していたのに、手のひらを返したように称えるのかよ。
そう苦笑したくもなるのが、市場関係者やマスコミの毎度の姿である。
ここに、投資家と市場関係者やマスコミとの違いが、みごとに凝縮されている。
株価など投資対象が高くなり過ぎたと判断すれば、早めに売って下落リスクを抑える。
そして売って得た現金でもって、そのうち来るであろう下落相場での買い出動に備える。
そういった売り買いのリズムは、投資家として当たり前の当たり前である。
ところが、市場関係者やマスコミはのべつ幕なしで、株買いの熱気の中に浸っていたがる。
やっかいなことに、年金などを運用する機関投資家の多くも、常に株式の投資ポジションを100%にしておこうとする。
彼らの与えられた任務が、株式投資でもって最大の成績を出しなさいで、1円の無駄もなく株を買えとなる。
その結果、彼らは「音楽が鳴っている間は、踊り続ける」をもって、運用とさせられてしまうのだ。
投資運用において、キャッシュも重要な運用手段のひとつなんだが、それは許されない。
そういった年金などの投資運用にもならない運用をみながら、マスコミなどはバフェット氏はもう古いと決めつけるわけだ。
笑ってしまう。 そのうち、大きな下げ局面でバフェット氏が買い出動したら、「さすがは百戦錬磨の投資家だ」と褒め称えるのだろう。
もう、お判りだろう。 われわれ本格派の長期投資家ならずとも、投資運用の鉄則は「安く買っておいて、高くなるのを待つ」である。
間違えても、市場関係者やマスコミはと一緒になって、株高騒ぎに浸っていてはいけない。