9月にも米国の中央銀行にあたるFRBが政策金利を引き下げるだろう、そういった期待が株式市場では先行している。
期待先行で米国の株価全般は、9月の利下げをどんどん織り込んでいっている。
ということは、来月のどこかで米FRBのパウエル議長が政策金利の下げを発表したところで、もう材料は出尽くしだ。
その後、投資家たちは何を期待するのだろう? また新しい期待材料が出てくるのだろうか?
さもなくば、さっさと売るべしか、いろいろ判断に悩む。
このあたりが、マーケット追いかけ型の株式投資家の苦しいところである。
なにか、皆がワッと買い群がれるような材料が出てくれば、我先にと買い注文を出す。
ところが、買い材料がなくなるや否や、株価全般はじりじりと下げはじめる。
それをみて、ここは売っておこうと判断する投資家が、あっという間に増えだす。
かくして、株式市場は下げ基調に転じる。 もうそうなると、マーケット追いかけ型の投資家は手も足も出ない。
どこかで下げ相場が落ち着いてくれて、新しい買い材料が出てくるのをずっと待つことになる。
そういったマーケット追いかけ型の投資家が大半、それが日本や米国の株式市場である。
とりわけ機関投資家のほとんどは、いかにマーケットを凌駕する成績を出していくかで汲々している。
彼らは独自の投資判断で、さっさと売り買いの行動をするなんてリスクは取ろうとしない。
個人投資家もインデックス・ファンドを買っておけば良しとする人たちが増えてきている。
こちらも、やはりマーケット追随型である。 買い材料など、どうでもいい。
となってくると、日本も米国も9月の利下げ後は、ダラダラと下げ基調の株価動向となっていくのだろうか。
半導体だ、生成AIだと買いまくってきた勢いも落ちてきているし、さてさてどうなることやらだ。
忘れていけないのは、この2年間のインフレと金利上昇による価格体系全般の上乗せ分が、これから出てくる。
企業にとっては、すでにコスト圧迫要因となっているのは間違いない。 それが、業績に今後どう反映されてくるかだ。
もうひとつは、空前のカネ余りで膨れ上がるにまかせてきた金融マーケットであり、張りぼての経済だ。
実体経済からは大きく乖離しており、中身はさほどない。 その分、しぼみ始めたら早い。
われわれ本格派の長期投資家はずっと前から、実体経済からは一歩も離れない投資スタンスを守っている。
したがって、もういつバブル化している金融マーケットや張りぼての経済に、プシュッと穴が開いても驚かない。
むしろ、その後を模索する段階に入っている。