相場格言に、「まだは、もうなり。もうは、まだなり」という、言い得て妙な伝えがある。
この上昇相場、まだまだ続くと強気を張っている横で、もう崩れは始まっていたなんて、よくある話。
逆に、もうそろそろ天井だろうと売っていったら、まだまだ上昇相場は続いてしまって地団駄踏むことも、しょっちゅうある。
それほどまでに、相場の先行きは読みにくい、思うような展開にはなってくれないということだ。
この相場格言は、いろいろなところで応用できるというか、当てはめることができる。
その最たるものは、日本経済の崩れに対する社会全体の鈍感ぶりだろう。
中国に追い抜かれて世界第3位の経済大国に順位を下げたのは、「人口比からみても、追い抜かれるのは仕方ない」と割り切っている。
そういっている間に、いまやドイツにも経済規模で肉薄されてきているのだ。
こちらは、1億2660万人の人口を抱えているが、ドイツはその67%の人口しかないというのに。
日本経済のジリ貧は、世界と比較しても恐ろしいスピードで進んでいるのだ。
それなのに、政官民どこを見渡しても、日本経済はまだまだなんとかなると信じて疑わない。
まさに、まだはもうなりである。 まだなんとかなるどころか、もう下落がどうにもならないほど加速しているのだ。
悲観論を振り回したいのではない。 長期投資家として、そんな無責任に甘んじているわけにはいかない。
もう、「いい加減に気合を入れろよ。一刻も早く、ぬるま湯から脱すべし」と訴えたいのだ。
その第1歩は、「なににつけても国頼み、他人まかせ」の甘えを捨て去ることだ。
経済活動は、もともと自助自立のうごめきが集まったものにすぎない。
個人も企業も、「自分の飯は、自分で稼いでいく」が原点である。 他人から食わしてもらうものではない。
なのに、多くの個人や企業をみるに、「このまま頑張っていれば、なんとかなる」から一歩も出ようとしない。
ずっと、「このまま頑張っていれば、なんとかなる」でやってきて、結局はジリ貧の道をたどっただけではないか。
このままダラダラしていたら、とんでもない窮乏に苦しむと、もうそろそろ心に定めよう。
そして、とにもかくにも自助自立の行動に打って出るのだ。 できるものから手を付けていく。
周りはどうでもいい。 自分だけでも、前へ前へと進んでいこう。
そこで、最大の味方は本格的な長期の株式投資である。 自分も頑張るが、お金にもしっかりと働いてもらおう。