日経産業新聞で昨年の末に、平成はどんな時代だったかを振り返ってくれという依頼があった。
ちょっと長めだったが、しっかり書いた。 しかし、紙面の都合でものすごく圧縮されてしまった。
そこで今日は、紙面とは違う角度でもって平成の30年間を振り返ってみようと思う。
ひと言でいうと、日本全体のゾンビ化だ。 それが、ジリ貧の一途をたどった経済であり、先進国で最悪を独走する国家財政という結果となっている。
ゾンビ化とは、自助自立の精神を捨て、他力本願と問題先延ばしで、ズルズルと悪い方向へ流れてしまうこと。
そのツケは、いずれ自分に降りかかってくるだろうとは感じながらも、勇気を出して悪い連鎖を断ち切ろうとはしない。
もっといけないのは、自分の代では問題が噴き出ないよう、さらにさらに厚化粧を重ねるサラリーマン根性や役人根性が、日本中にはびこっていることだ。
やっかいなことに、多数の意見を尊重する民主主義の悪い面があちこちで噴き出ている。
たとえば.医療財政や年金財政は急悪化しているのだが、抜本的な改革には高齢者が反対する。
高齢者の票が欲しいから政治家は問題先送りに明け暮れる。 結局は、なにもしないまま問題の悪化に振り回されるという悪循環だ。
日本全体がゾンビ化ということは、誰も抜本的な解決策を打ち出さないし、国民に訴えつつ行動に移す勇気も見識もない。
そういうゾンビ化が、一体どれほど酷いのか? 早い話、この20年間で米国やヨーロッパ経済は2倍規模になっている。
それだけ欧米では、国民全体では豊かになっているのだ。 若者の失業率が高いとか格差拡大とか、あれほど問題が噴出しているというのに。
ひるがえって日本経済はずっとジリ貧と停滞に喘いでいる。 国民全体が無為無責任のゾンビ化に身を任せ、総貧困化の道をひた走っているのだ。
それでも、なんとかなっている? まだ、なんとかなるのでは? そういった甘えが、もうゾンビ化である。
いまや国家財政が危険ゾーンに入ってきている。 来年度予算101兆円においても、その35%を国債発行で賄う。
国債発行残高は積み上がる一途でやってきたが、その50%近くを日銀が保有するところまできた。
事実上の財政ファイナンスを続けているのだ。 その先では、財政破たんと悪性インフレが大きな口を開けて待っている。
そこまで行ってしまうのだろうか、日本全体のゾンビ化は。