マイナス金利 vs 北風と太陽

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 童話に「北風と太陽」というのあるよね。 旅人のマントを脱がせるのに、北風と太陽のどちらが勝つかというお話。

 北風は、「よっしゃ」とばかり、強い風で旅人のマントを吹き飛ばしてやろうとした。 強い寒風を受けて、旅人は「マントを飛ばされたら死んでしまう」と、必死にマントを体に巻きつけた。

 一方、太陽は暖かい陽射しをさんさんと降り注いでやった。 旅人は「熱い、汗が出る」といって、マントを脱ぎ棄てた。

 力まかせに旅人のマントを脱がせようとした北風よりも、やさしく旅人にマントを脱ぎたくさせた太陽の方が、戦略として勝ったというわけ。

 さて、マイナス金利は北風なのか太陽なのか、一体どちらだろう? 金利をマイナス状態にもっていって、銀行に企業融資を積極化させ景気浮上を狙う日銀の政策は、北風か太陽か?

 銀行にとってみると、無理やり企業融資を増加させられるという意味では、日銀からきつい北風政策を食らったといえよう。

 たしかに銀行には厳しいが、それで企業融資が増加し経済活動が高まってくれば、日本経済にとっては暖かい太陽政策となる。

 果たして、企業の投資活動が活発化するのだろうか? そして、2%インフレが見えてくるだろうか? そのあたりは、今後の展開を見守ることにしよう。

 おそらくだが、無理やり企業融資を高めさせる政策は一部の分野、たとえば不動産などのバブルとなって突出することになろう。

 経済活動にとって太陽の政策は、金利がごく自然体で上昇し始める方向に持っていくことだ。 国や日銀がゼロ金利だ、マイナス金利だとするから、どの企業も「のんびり構えようか」となる。

 ところが、金利が上昇の気配を高めてくるや、「金利が低い今のうちに、お金を借りて投資しておこう」といった動きが、企業の間で放っておいても出てくる。

 そういった前向きの動きが出てくるのは、元気な企業が中心となる。 ゼロ金利で辛うじて息をつないでいるようなゾンビ企業は、金利上昇についてこれず脱落していく。

 これが、本当の経済活性化のはず。 次を担う企業群がどんどん前向きの動きを高める横で、ゾンビ企業は静かに舞台から去っていくという図式だ。

 1992年からの超低金利、そしてゼロ金利になって今度はマイナス金利で、なんの効果も生んでいない。 そろそろ、政策の大転換を考えるべきではなかろうか。

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 ★注意 上記の内容は澤上篤人個人の見解であり、さわかみ投信株式会社の考えおよび「さわかみファンド」の運用を説明しているものではありません。 個人の真意を尊重するため、原則、文章の修正はせずにブログを公開しております。