今日の視察は雨で中止になった。 これ幸いと、昨日の感動をお伝えしましょう。 なんと、ふたつもあるんですよ!
ひとつは、美味しい牛乳を守ろうと消費者と酪農家が手を携えて、いろいろ積極的に活動している現場。 兵庫県は丹波市の山奥にある。
農協が40年以上にわたって経営していた牛乳のパック詰め工場が、採算が合わないからと閉鎖の運びとなっていた。 そんなことにでもなったら、地元の美味しい牛乳が飲めなくなると、一部の人々が立ち上がった。
41歳の酪農家吉田さんが経営を引き受けて、立て直しに動き出した。 それを多くの人々が応援している。 その一つが、昨日の視察である。
自然エネルギーの開発普及で実績を積み上げている非営利(株)宝塚すみれ発電の井上さんらが、廃棄処分にされようとしていた太陽光パネルを引き取って、丹波乳業の工場の屋根に設置しようということになった。
古いパネルといっても、変換効率はそれほど落ちていない。 パワーコンディショナーを新規購入するだけのコストで、その工場はこれまで支払っていた電気代を節約できる。
お見事といっていい資源の有効活用モデルである。 太陽光パネルが廃棄処分でなく再利用される。 農地を潰すのではなく工場の屋根を利用して発電した電気は、自家消費することで電力コストを抑えられる。 また、自家発電すればするほど原発への依存度も下がる。
おいしい牛乳のためには、牛たちにも気分良い環境を用意してやらなければと、吉田さんはいろいろ工夫している。 まるで広場みたいな牛舎で、牛たちは自由に動き回れるし、近隣の農家から処分代わりに提供される大量の籾殻の上で、のんびり寝そべっている。
朝と夕方、時間となったら牛たちは自分で搾乳場へやってくる。 4頭ずつ搾乳するが、人間は60cm ほど低いところで立ったまま器具を牛に着けられるから、腰の負担もないし作業効率はすこぶる良い。
3時間の滞在で慌ただしく東京に戻ったのは、19時から二つめのイベントがあったから。 つくば市立春日学園の片岡校長はじめ7名が来られ、さわかみ投信とのガチンコ交流会があった。
春日学園は小中一貫校として、すばらしい実績を挙げている。 1年生から4年生まで、5年生から7年生まで、そして8年生と9年生という具合に年代別ブロックに分けて、長期視野に立った教育プログラムを推し進めている。
教育の現場と投資運用の現場といった違いはあるものの、長期視野に立って事業を展開していく者同士が、それぞれの理念や哲学を語り合う。 また、現場で遭遇する問題やら気付き、さらにはやりがいやらを意見交換するのだ。
すごくおもしろかった。 あちらは教育者冥利、こちらは長期投資家冥利を背に感じながら、日々の仕事に邁進している。 その真剣さがビシビシと伝わってくる。
皆さん筑波へ戻らなければならないので、9時40分にはお開きとなった。 残った社員はそれとなく飲みたい気持ちになって、そこからワインを5本ほど空けることになった。