原油価格の下落が続いている。 昨日も、代表的な原油取引の指標であるWTI が7年ぶりに37ドルを割ったとのこと。 それでか、NY 市場も下げている。
世界的にみても、原油安や資源安が新興国経済にダメージを与え、デフレ現象を招く恐れありといった懸念というか不安感が高まっている。
ちょっと冷静に考えてみよう。 そういったことを騒いでいるのは、マーケットとマスコミだけではなかろうか。 われわれ長期投資家は、そんなものに踊らされてはいけない。
そもそも、マーケットは日々というか時々刻々の値動きを追い回すものだから、原油は資源価格の低下傾向に神経をとがらすのは当たり前のこと。
神経をとがらすのは、不安や懸念からだけではない。 値動きがあるということは、買いでも売りでも値幅稼ぎのチャンスである。 刻々の値動きに自分はどう参加するのか、そういった臨戦態勢にあるからこそ、マーケット情報に敏感なのだ。
マスコミはもちろん、いま世界で起こっていることを情報として伝えるのが仕事。 せいぜい、新聞の購読者数を増やしたり視聴率を上げるために、より刺激的な報道に走るだけのこと。
しっかり考えたいのは、ここからだ。 世界全体を見渡して、原油価格や資源価格が低下して困る人達と、喜ぶ人たちとでは、一体どちらの方が多いだろうか? 消費者に決まっているよね。
デフレ現象を騒ぐのは、原油やLNG あるいは資源に関連する企業と、一部の新興国である。 なにしろ、原油代金や資源の売値が下がり続けているのだから、売り上げ減少つまりデフレだ。
一方、世界中の消費者にとってはエネルギー価格や資源価格が下がることは大歓迎である。 エネルギー価格や製品価格が下がる分、ほかの消費にまわす余裕も生まれる。 それが経済活動の活発化につながっていく。
そう、大きな流れでみると、原油はじめ資源価格が下がることは世界経済の拡大発展にプラスなのだ。 ところが、マーケットやマスコミは目先のマイナス要因ばかりをとらえて、売り急ぎを誘ったりする。
ということは、下がったところは買い増しのチャンス? その通り。 長期投資家は安値あらば、どんどん買い増しのスタンスで行こう。 間違えても、マーケットやマスコミと一緒になってドタバタしてはならない。
もうひとつ、忘れてならないことがある。 それは、エネルギーや資源価格が永久に下げ続けるなんて、あり得ないということだ。
世界の人口は、1日あたりで平均すると、16万8000人ずつ増えている。 そして、世界中の人々はより豊かな生活を求めてやまない。 この二つが掛け算となって、世界経済を拡大させ続けることになる。
人々がどんどん豊かになっていけば、エネルギー消費や生活消費はどんどん増えるに決まっている。 したがって、いまは価格下落とデフレ懸念を騒いでいるが、いつ何時エネルギーや資源価格が上昇トレンドに一転するか、誰にもわからないのだ。
大きな方向は、世界経済は拡大成長するということ。 それを下支えしていく企業そして長期投資の将来可能性も限りなく大きいということだ。
明日、明後日と日帰り出張が続くので、長期投資家日記はお休みです。