若い世代の間で、投資というものに関心が高まっている。 ひとつには、この2年ほど株価の上昇が続いていて、まわりで株で儲かったといった話を耳にする機会が増えたことが挙げられる。
もうひとつは、昨年からNISA という小規模投資非課税口座の制度が発足し、証券界中心に大々的な広報活動を繰り広げている影響もある。
NISA を利用すれば年100万円まで、それも5年間という縛りはあるものの、投資収益には課税されませんよといううたい文句で、幅広い個人層に株式投資や投信購入を促している。
1年目はさすがに投資慣れした中高年齢層が、たとえ100万円まででも非課税措置を利用しない手はないといって、 NISA 制度に飛びつくケースが圧倒的に多かった。
今年に入って若年層の NISA 口座開設がかなりのピッチで増えだしているとのこと。 まだ中高年齢層による口座開設と比べると少ないが、若い人たちの株式投資への関心が高まっているのは事実である。
しかし、やはり一番の背景要因は年金の将来不安だろう。 少子高齢化が進み、人口構成が急激に逆ピラミッド型になっており、どう考えても若い世代の年金受給は厳しくなる一途である。
国の年金が当てにできそうになければ、自分で何とかしなければならない。 いってみれば、自分年金づくりを考えなければならないわけだ。
そうなると、これまでの預貯金一本やりでは心もとない。 年0.02%程度の利子では預貯金に預けておいても、100万円の資金を2倍の200万円にするのに、なんと3600年もかかってしまうのだから。
そこで、ちょっと投資を前向きに考えてみようかという人たちが増えてきても、なんらおかしくはない。 大事なのは、そこから先だ。
投資はじめての人たちほど、本物の長期投資に入ってきてもらいたいもの。 生活者からみてなくなっては困る企業を応援しようと、ゆったりじっくり長期投資を展開していけば、もうそれで十分に財産づくりになっていくのだから。
ところが、やみくもに株式投資だ、NISA を活用しようとかやりだすと、たちまち長期投資の路線から外れていってしまう。
そう、世の中に多い相場追いかけ型の株式投資にのめり込んでいくことになる。 相場を相手にしたら、もう財産づくりどころではなくなる。 昔からいわれている、「株式投資はリスクが多い」を地でいくことになる。
その違いは天と地の差となる。 好例が、さわかみファンドだろう。 設定されて15年と11カ月、まったくブレルことなく本格的な長期投資を地道に展開してきて、年率にして5.4%の成績を残している。
その間、日本経済はじり貧に喘ぎ経済規模も縮小の道を歩んできた。 平均株価も一か月前に、ようやく15年ぶりの高値更新したぐらいで、世の株式投資家は惨憺たる成績に沈んでいたはず。
それと比べるに、さわかみファンドの実績は圧倒的である。 それがどこから来たかというと、本格的な長期投資を続けてきただけのこと。
ここのところを、投資はじめての人達に分かってもらいたいものだ。
明日は姫路で、あさっては京都で9月のオペラ公演のプレイベント「オペラ道化師を100倍楽しもう」で出張のため、長期投資家日記はお休みです。 次回は27日(月)です。