寄付事業という新しい挑戦

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 寄付の文化を高めようとよく言われる。 もっともっと寄付をしようよ、そのお金でもって多くの人たちのお役に立たせてもらおうよ、そして社会を良くしていこうよということだ。

 余裕のあるお金を世の中にまわさせてもらって、より良い社会をつくっていこうというのは、長期投資の根本的な考え方である。 寄付と同一線上にある。

 長期投資の場合は、経済の健全な拡大発展を促進する方向でお金をまわしていく。 経済のパイが大きくなり、皆が豊かに幸せになった結果として、役立たせてもらったお金が殖えて戻ってくる。 ありがとうということばとともに。 それが長期投資のリターンである。

 こう静かに語ると、誰もが「そうだよね」と同意する。 ところが、現実にはなかなか長期投資に踏み込めない。 儲けたい、損したくないの意識ばかりが先に出てしまい、銭ゲバ投資に走りがち。 お金をまわして経済の拡大再生産に貢献しようという意識が欠落している。

 経済のパイを大きくするという行動の先に、投資のリターンがあるのに、はじめからパイを削り取ることばかりに躍起となる。 それが日本では投資というものに対する一般的な認識となっている。

 そんな中、うちのさわかみファンドを筆頭にして長期投資の実績がしっかりと積み上がってきている。 投資家顧客から預かった資金を一線の無駄もなく、より良い世の中づくりにまわさせてもらって、そのリターンを堂々と積み上げているのだ。

 一般的には青くさく泥臭い投資に徹していると見られがちだが、誰もがついてこれない大きな結果を残している。 それをみて、そのうち多くの人達が我々の長期投資を良しとして、どんどん集まって来てくれるだろう。 そういった流れをつくっていく先で、長期投資の文化が花を咲かせる。

 よく日本には寄付の文化が育たないといわれるのも、状況は似ている。 寄付しても、どこでどんな風につかわれているのか、いまいち分からない。 世の中のお役に立っているはずだが、どうもお金を出しっぱなしのような気がする。 そんな印象が一般的だろう。

 だったら、寄付というものがどれだけ素適な仕事を成し遂げるかのモデルを、次から次へと世に出していってやろう。 すばらしい実績をみれば、多くの人達が我も我もと集まってくれよう。

 そういったモデルを世に提示していくべく、「お金をまわそう基金」という財団を設立した。 間もなく、お金をまわそう基金の HP が立ち上がり、本格的な活動を開始する。

 さわかみ財団が「お金をまわそう基金」の運営費を全額出すから、お金をまわそう基金に預けられた寄付は全額が指定の方向へ投入される。 したがって、きわめて透明性の高い寄付となる。

 なおかつ、寄付していただいた方々にいろいろ手伝ってもらう参加型にもしていく。 そういったおもしろがりの先に、寄付という文化が醸成されていくのだろう。